街の中に溢れ、風景の一部として当たり前のように存在する建造物。あなたは気に留めたことがあるだろうか。ディーナー&ディーナーの設計する建築もごく自然に都市に馴染み、一見匿名的だ。しかし実はそれは周辺環境の丹念な分析の集大成なのである。そのプロセスを紹介する展覧会『都市へ仕掛ける建築:ディーナー&ディーナーの試み』が、東京オペラシティアートギャラリーにて開かれる。 ディーナー&ディーナーはマルクス・ディーナー、ロジェ・ディーナーの親子による設計事務所。スイスを拠点に活動し、フランク・O・ゲイリー、鳥の巣スタジアムやプラダの青山ビルを手がけたヘルツォーク&ド・ムーロンなど「一目でわかる個性的な建築」とは対極を成す彼らの建築。静かにささやくように存在するが、そこに活動する人々が都市の記憶や建造物との関わりから新しい価値を発見できるように、内から「微妙なパルス」を発生している。 展覧会は5つのセクシ