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ブックマーク / yamada5.hatenablog.com (10)

  • 「影の縫製機」(ミヒャエル・エンデ ビネッテ・シュレーダー) - 児童書読書日記(仮)

    影の縫製機 作者: ミヒャエル・エンデ,ビネッテ・シュレーダー,酒寄進一出版社/メーカー: 長崎出版発売日: 2006/12/11メディア: 大型 クリック: 9回この商品を含むブログ (24件) を見る ミヒャエル・エンデの詩集です。箱入りの豪華でちょっと値段がはりますが、ファンなら買っておいて損はないでしょう。 エンデの作品は文明批評が色濃い部分があるので、説教くさい作家だと誤解を受けがちです。しかしこういう短い作品を見ると、彼が狂的な発想力を持ったすばらしいファンタジー作家であることと、冗談好きなおじちゃんであることがわかります。ねこのはげって……。

    「影の縫製機」(ミヒャエル・エンデ ビネッテ・シュレーダー) - 児童書読書日記(仮)
  • 「ハンサム・ガール」(佐藤多佳子) - 児童書読書日記(仮)

    ハンサム・ガール (フォア文庫) 作者: 佐藤多佳子,伊藤重夫出版社/メーカー: 理論社発売日: 1998/07/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログ (8件) を見る 直木賞残念会ということで、佐藤多佳子初期のスポーツ小説を取り上げます。 元プロ野球選手を父親に持つ小5の少女二葉が少年野球チームに入りピッチャーとして活躍するお話です。野球チームといえばホモソーシャルの代表みたいなものですから、チームの男子たちは女子の加入に嫌悪感を隠そうとしません。二葉が好投すれば軋轢が生まれるし、スランプになったらなったでまた関係がこじれ、お互いがお互いをスポイルしあう最悪の悪循環に陥ってしまいます。この状況に佐藤多佳子は意外なかたちで解決を与えます。事態が好転したときの二葉の心境が描かれている部分を引用します。 予想してたのとはぜんぜんちがった。何か劇的なことが必

    「ハンサム・ガール」(佐藤多佳子) - 児童書読書日記(仮)
  • 「ず・ぼん⑫ 図書館とメディアの本」 - 児童書読書日記(仮)

    ず・ぼん―図書館とメディアの (12) 出版社/メーカー: ポット出版発売日: 2006/11メディア: 単行 クリック: 5回この商品を含むブログ (5件) を見る 図書館関係のですが、偕成社社長の講演録が載っていたのでここで取り上げます。 戦後の児童書出版についての概観が述べられています。一般の読者にはあまりなじみのない児童書の商売としての面に触れられていたのが興味深かったです。 例えばハリポタの影響について、児童書の翻訳権が高騰し、並みの出版社*1では買えなくなったと負の面が指摘されています。 来ならば児童書は家庭工業のように細々とつくっていたのが、世界経済の構図みたいなものに巻き込まれたことが、一番の不幸だったんじゃないかと思います。逆にそういう中で非常に大きなビッグビジネスを追う風潮も盛んになってきて、その一番の典型が『ハリー・ポッター』なわけです。(23ページより引用)

    「ず・ぼん⑫ 図書館とメディアの本」 - 児童書読書日記(仮)
  • 「大人のファンタジー読本」(やまねこ翻訳クラブ/編) - 児童書読書日記(仮)

    大人のファンタジー読 ~未知なる扉をひらく180選~ 作者: やまねこ翻訳クラブ出版社/メーカー: マッグガーデン発売日: 2006/11/30メディア: 単行 クリック: 16回この商品を含むブログ (7件) を見る マッグガーデンってコミックブレイドを出しているところですよね。いつからこういうを出すようになったのかと思って公式サイトを調べてみたら、昨年から翻訳YA事業に乗り出したようです。どういう展開を見せるのか注目していく必要がありそうです。 最近のブームではじめてファンタジーに触れた初心者のためのブックガイドというコンセプトで、取り上げられている作品は幅広いです。ハリポタ以後雨の後のタケノコのように出た翻訳作品はほとんどフォローされていますし、古典も手堅い作品を揃えています。かと思えば2006年に登場したばかりの日の新人作家も押さえている。なかにはサンリオから出ていた「時間

    「大人のファンタジー読本」(やまねこ翻訳クラブ/編) - 児童書読書日記(仮)
  • 今度は佐藤多佳子か……? - 児童書読書日記(仮)

    芥川賞、直木賞の候補が発表されました。やはりこのブログとして言及しておかなければならないのは、佐藤多佳子の名前が挙がっていることでしょう。森絵都に続いて佐藤多佳子が直木賞受賞ということになれば、その次はあさのあつこか……と妄想はふくらむばかりです。 露骨にひいきしてしまっていますが、YAが鳴かず飛ばずだった時代からこのラインの女性作家に注目してきた身としては、よくぞここまできたと感慨深いものがあります。 さて、現実問題として今回は受賞の可能性はあるでしょうか?他の候補者も実力者がそろっていますし、彼女が初ノミネートであることを考えれば難しそうです。しかしの雑誌のベスト1に選ばれた勢いもありますから、そこそこの勝負はできるはずです。 直木賞を逃したとしても、むしろこれは前哨戦で当の戦いは屋大賞だという見方もありますし。しばらく話題はつきません。 一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-

    今度は佐藤多佳子か……? - 児童書読書日記(仮)
  • 2006年ベスト児童文学 国内編 - 児童書読書日記(仮)

    ①ケイゾウさんは四月がきらいです。(市川宣子) 老いぼれニワトリと幼稚園児の心あたたまらない交流の物語。ロングセラーになることが約束された作品(のはず)。福音館には社運をかけてでも売ってもらいたいです。 ②うしろの正面(小森香折) 眩暈のするような幻想的な別世界を構築し、少年の通過儀礼をダイナミックに描いた力作です。 ③教室の祭り(草野たき) 教室内文化の異様さを冷徹に描いたリアリズム作品です。 ④森の大あくま(二宮由紀子) はてしなく頭が悪くはてしなく知的なナンセンス童話。今年一番笑わせてもらったです。 ⑤竜神七子の冒険(越水利江子) 貧乏なんてなんのそのな、たくましい女の子の物語。庶民の生活を骨太に描きながら、時折息をのむような幻想的な風景を見せてくれるところに魅力があります。 その他 今年はファンタジー系で底力のありそうな新人がたくさん登場しました。講談社児童文学新人賞の立石彰と菅

  • 2006年ベスト児童文学 翻訳編 - 児童書読書日記(仮)

    ①世界はおわらない(ジェラルディン・マコックラン) ②海賊の息子(ジェラルディン・マコックラン) ⑤ベラスケスの十字の謎(エリアセル・カンシーノ) ④アマチェム星のセーメ(ロベルト・ピウミーニ) ⑤シルバーチャイルド(クリフ・マクニッシュ) 今年の最大の収穫はなんといってもマコックラン作品が複数翻訳されたことでしょう。特にノアの箱船伝説をモチーフにした「世界はおわらない」の奥深さには圧倒されました。 「ベラスケスの十字の謎」はベラスケスの絵画「侍女たち」の謎をめぐるミステリアスな物語。17世紀のスペイン宮廷の描写が緻密で、分量は短くても重厚な物語世界を味わわせてくれました。 「アマチェム星のセーメ」は宇宙を舞台にした架空旅行記。「シルバーチャイルド」はミュータントと巨大宇宙生物との戦いの記録。どちらも無駄にスケールが大きく、奔放なイマジネーションの世界を楽しませてくれます。 ファンタジー偏

  • 「サキサキ オノマトペの短歌」(穂村弘/編 高畠那生/絵) - 児童書読書日記(仮)

    サキサキ オノマトペの短歌 (めくってびっくり短歌絵 (2)) 作者: 穂村弘,高畠那生出版社/メーカー: 岩崎書店発売日: 2006/11/01メディア: 単行 クリック: 10回この商品を含むブログ (7件) を見る 穂村弘の短歌絵第二弾。オノマトペを効果的に使った短歌が14編収められています。 このテーマも応用範囲が広くて面白いです。「美女美男美女美男」なんていうのも擬音になるとは。恥ずかしながら「べくべからべくべかりべしべきべけれ」はめくってみるまでなんのことをいっているのかわからなかったです。 最終ページですべてのページに同一の場所の風景が描かれていたことが明かされます。このすべてにうまくつじつまを合わせて、ひとつの物語を妄想してみるのも面白いかもしれません。

    「サキサキ オノマトペの短歌」(穂村弘/編 高畠那生/絵) - 児童書読書日記(仮)
  • 「ルリユールおじさん」(いせひでこ) - 児童書読書日記(仮)

    ルリユールおじさん 作者: いせひでこ出版社/メーカー: 理論社発売日: 2006/09メディア: 大型購入: 3人 クリック: 94回この商品を含むブログ (76件) を見る 好きなら必読です。 植物が大好きで植物図鑑を大事にしている少女ソフィーが主人公。何度も読んだために植物図鑑がこわれてしまい、製職人のルリユールおじさんに修理を頼みます。 壊れたをよみがえらせる職人の技をいせひでこが魔法のように魅力的に描いています。木が好きな少女との補修について説明する職人の会話が微妙にかみ合っていないことにリアリティを感じます。いろんなことに興味が移っていく子供の様子が生き生きとしていてかわいらしいです。 を直してもらった少女はに顔をくっつけるようにして読書に没入します。その姿は愛おしいと同時に将来がちょっと心配になってしまいます。どうかビブリオマニアにだけはならないでもらいたいです

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    sugimo2
    sugimo2 2006/12/24
  • 「12歳からの読書案内 海外作品」(金原瑞人/監修) - 児童書読書日記(仮)

    12歳からの読書案内 海外作品 作者: 金原瑞人出版社/メーカー: すばる舎発売日: 2006/12/18メディア: 単行 クリック: 16回この商品を含むブログ (15件) を見る 「12歳からの読書案内」第二弾が刊行されました。第一弾はラノベもBLもおかまいなし、性表現や暴力表現にも頓着せずに紹介する編集方針が評判になりました。今回もその挑発的な姿勢は変わっていません。 金原瑞人は「12歳から」向けにバタイユを紹介して良識ある大人の度肝を抜きました。生田耕作訳でなくあえて光文社古典新訳文庫版を取り上げているのには初心者への配慮が感じられますが、それにしてもバタイユとは……。 トヨザキ社長も金原瑞人と張り合ってるんだか、すごいを紹介しています。ケッチャムの「隣の家の少女」。一切救いのない児童虐待小説です。「12歳からの読書案内」シリーズはぜひ今後もこの調子で突っ走ってもらいたいです。

    「12歳からの読書案内 海外作品」(金原瑞人/監修) - 児童書読書日記(仮)
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