早いものでワールドカップ(W杯)も残り4試合となった。約1カ月にわたる寝不足の日々にピリオドが打たれようとしている。準決勝、そして決勝と来るべきクライマックスに心躍るものの、同時に夏の終わりの夕暮れ時のような寂寥(せきりょう)感が漂い始めている。 まだこの大会の総括をするのは時期尚早なのだが、ちょっと振り返ってみると、さすがW杯というべきか、ピッチ内外はカラフルな出来事に富んでいた。“バファナ・バファナ”(南アフリカ代表の愛称)のグループリーグ敗退、フランスの恥辱、日本の雄飛、マラドーナの蹉跌(さてつ)などなど。そして今大会を語る上で避けて通れないのが、レフェリーの判定に関する問題と、それに伴って発生したビデオ判定の是非を問う議論である。 このビデオ判定をはじめとするハイテク技術の導入は以前から議論の対象となってきた。FIFA(国際サッカー連盟)はこれまでにもIFAB(国際サッカー評議