作戦通り順調に魔王の本陣を叩いているつもりが、その後方にももう一つの本陣があった!? 私は気を取り直して、遊撃パーティーの生き残りである武道家に質問した。 「本当なのか?敵の哨戒パーティーではないのか?」 彼は、半分放心状態のせいで、かえって素直に答えられている様子だった。 「ええ、敵の本陣を攻撃した俺たちは、その真後ろに抜けようとしたんです。真後ろの哨戒パーティーは一番弱いから意表をつけば抜けるだろうって。そうしたら、物凄い数の魔物が現れて……中心に何というか禍々しい気配が」 恐怖を思い出した武道家の言葉が震えてくる。アリアさんが彼の身体に毛布を掛けてやる。私は自分の気遣いのなさに気づいた。 「お、俺はヤバいと思ったんですが、うちの勇者はむしろ手柄をあげるチャンスだと思ったみたいで――仲間を連れて突っ込んじまいました。俺は足が動かなくて……」 「わかった」 結果的に仲間を囮にする形で逃げ