#11 もういない人のこと その日、友だちが死んだことを知らせるメールは、朝早く、わたしが眠っているあいだに届いた。大学の夏季休暇中で、予定が午後からだったので昼まで寝ていた。まだラインが普及しきる前だった。 目がさめたとき、メールの内容を確認して跳ね起きたのち、なぜか間もなくふたたび眠った。二度寝を終えると、衝動的に美容院を予約して髪を切り、そのあとは予定通り卒業アルバムを受け取るために母校へ行って帰ってきた。 記憶にあるかぎり、わたしはその日一度も泣いていない。 夜になってようやくごくわずかな共通の知りあいに訃報を伝え、あらためてメールを読み返しても、頭が日常モードから切り替わらなかった。寝ぼけてメールを開いたときの半分夢のような感覚からなにも変わらない。連絡が来た時点で、彼が死んでから一カ月以上経っていたことも大きいかもしれない。 自殺だった。自殺に遅いも早いもないけれど、でもまだ