小笠原諸島周辺のアカサンゴ密漁問題で、海上保安庁は巡視船や航空機を全国から追加で派遣し、一斉摘発に乗り出した。与党議員らから厳しい対応を求められ、プレッシャーが高まっていた。 海保によると、漁船の数は10月30日の212隻をピークに減少傾向にあるが、今月20日もなお47隻を確認。現地では漁具が壊されるなど深刻な被害が出ており、与党議員らが効果が上がっていないと批判し、「自衛隊の護衛艦を派遣したらどうか」などと強硬論も飛び出していた。 一方、海保は中国船が領海侵入を繰り返す尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺や、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設に向けた作業が進む名護市辺野古沿岸部の警備にも全国から応援を出し続けている。 ある海保関係者は「各地の海上保安本部は、ぎりぎりの人員で地元の海を守っている。さらに応援を出せば限界を超えかねない」と話す。