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毎年夏になると、土用の丑の日の食べ物として話題になるウナギ。中国からの輸入物の増加で、20年ほど前に大幅に価格が下がっていましたが、今では再び高止まりしています。 ニホンウナギが絶滅危惧種に指定され、稚魚の密漁など暗い話も多くあります。ウナギをいつまでも食べ続けるためにはどうしたらよいのでしょうか? このままではウナギ資源は戻らない ウナギ資源が回復する気配はありません。冷静に考えれば簡単にわかることなのですが、成長して親になる前に魚を獲ってしまったら、卵を産む親の数が減って資源が減少します。これを「成長乱獲」と言います。ウナギ漁はシラスウナギ(ウナギの稚魚)を獲る漁が主体なので、まさにこれに当てはまります。 夜間に集魚灯を使って、光に集まったシラスウナギをすくい獲るのが主な漁法です。漁獲されても群れが大きくて、大量に川を上っていけるうちはよかったのです。しかしながら資源量が減って小さくな
スマホ決済事業者がまたひとつ、淘汰される。LINEヤフーは6月13日、日本国内におけるスマホ決済「LINEペイ」を2025年4月末で終了すると発表した。 他社に先駆けてスマホ決済市場を開拓してきたLINEペイ。だが、先行者利益を享受できぬまま、後発組のPayPayにあっけなく打倒された。金融事業の中では比較的健闘していたLINEペイの終了により、LINEが描いてきた「経済圏」の夢はいよいよついえた。 隅に追いやられたLINEペイ 「時間の問題だった」。決済業界関係者の反応は冷ややかだ。 2021年にヤフーとLINEが経営統合を果たして以降、LINEペイは微妙な立場に追いやられていた。PayPayが事業セグメントとしての地位を確立する一方、LINEペイは「その他金融」と十把一絡げにくくられた。 2022年7月には、店頭に設置するQRコードをPayPayに一本化し、LINEペイのQRコード決済
慶應義塾大学の伊藤公平塾長が、3月に文部科学省・中央教育審議会の特別部会で「国公私立大学の設置状態にかかわらず、大学教育の質を上げていくためには、公平な競争環境を整えることが必要。国立・公立大学の家計負担は、年間150万円程度に上げるべき」と提言しました。今回は、日本の大学と学費のあり方について考えてみましょう。 文科省は火消しに回る 4月中旬に伊藤氏の提言がメディアで明らかになると、大きな波紋を呼びました。ほぼ反対一色で、SNSやネット掲示板には次のようなコメントがあふれていました。 「学費の値上げと大学教育の質の向上がどうつながるのか。私立大学と国公立大学が公平な競争をする必要があるのか。ちょっと意味がわからない」 「値上げすると、いよいよ裕福な家庭しか大学に進学できなくなる。努力すれば国公立大学で安く学べるという今の仕組みを変えるのは反対」 文科省の担当者は、早々に「あくまで提案が議
「永住」から「永続的な不安定さ」へーー。国会にまもなく提出される入管法の「改正」草案を読んでみると、日本に長期在留する外国人の状況がいかに不安定になっているかがわかる。 2024年初、法務省は承認された「記者クラブ」の少数のメンバーに対し、日本の入管法改正案草案を提示した。改正の正式な目的は外国人技能実習制度を改善することである。1993年の開始以来、この制度は実習生の転職を不可としており、ブローカーや人材紹介会社による実習生の酷使が蔓延していた。 ひっそりと盛りこまれた「罰則」 日本のメディアはこの改正を主に大きな改善として紹介した。「長時間労働、セクハラなどの人権侵害が批判されてきた技能実習は、本人の権利保護により重きを置いた制度に近く一新される。3年後には「特定技能」に移行し、家族も呼び寄せて安定して生活できる道が整いつつある」と朝日新聞は1月16日に報じている。 また、2月9日には
「空飛ぶクルマ」の開発を手がける中国の峰飛航空科技(オートフライト)は2月27日、5人乗りの機体を使った都市間輸送のデモンストレーション飛行を成功させた。広東省深圳市の蛇口港から(珠江を挟んだ対岸にある)同省珠海市の九州港までの往復100キロメートル超を飛び、自動車なら約3時間の所要時間を約20分に短縮できることを実証した。 eVTOL(電動垂直離着陸機)とも呼ばれる空飛ぶクルマは、電動モーターでプロペラを駆動し、人を乗せて垂直離着陸が可能な飛行機械を意味する。旧来のヘリコプターより騒音が小さく、運用コストも低いとされ、都市間の次世代交通手段として大きな期待を集めている。 ヘリ運航会社が全面サポート 今回のデモ飛行は、深圳に本拠を置くヘリコプター運航会社の東部通用航空の全面サポートを得て実現した。 「空飛ぶクルマという新分野の航空機により、大河を横断する都市間飛行に成功した世界初の事例にな
ロバート・ダウニー・Jr.とエマ・ストーンの振る舞いは、人種差別か。オスカー授賞式以来、その話題が日本のメディアを騒がせている。 「日本のメディア」とあえて書いたのは、お膝元のアメリカにおいてはあくまでソーシャルメディア上における騒ぎであり、メジャーな新聞や業界サイトはほとんど取り上げていないからだ。それはなぜか。とりあえずは、授賞式を見ていない人のためにも、あらためて何が起きたのかをここで振り返ってみよう。 恒例のハグをしなかった まずは、授賞式が始まって比較的すぐだった助演男優部門の発表。今年、授賞式のプロデューサーは、演技部門に関して、過去に同部門を受賞した5人をプレゼンターとして舞台に立たせた。2009年に試したスタイルを久々に復活させたものだ。 封筒を開け、受賞者にオスカー像を手渡すのは、昨年の受賞者の役目。助演男優部門の昨年の受賞者は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アッ
『週刊年金実務』という、年金界のできごとを毎週まとめて届けてくれる雑誌がある。福祉元年と呼ばれる1973年、公的年金に物価スライド制、賃金再評価という年金の成熟を加速する仕組みが導入された年に、刊行されている。このたび50周年記念として「年金制度のこれまでとこれから、10人にきく」という企画が立ち上げられた。そこに書いた文章に加筆し、東洋経済編集部の協力を得てQ&A方式で上編、中編、下編に分けて記事を構成した。 まだ国民共通の理解が欠ける公的年金 ──日本の公的年金保険のこれまでと現状をどのように評価するか。 まず、公的年金という制度が何をやっているのかについて共通の理解が必要だ。 その年に生み出された付加価値(財・サービス)を、所得という形で、継続的に収入の途絶している人に渡して、彼らの財・サービス消費を支えるのが年金だ。年金受給者の財・サービスの取り分を増やすためには、同じ時間を生きる
「トランス脂肪酸」を聞いたことがあるでしょうか。これは数ある脂質の中でも「健康に悪い」ことが確実性が高く示されたもので、アメリカではかなり厳密に使用を制限されています。一方、実は日本での制限はアメリカほど厳しくなく、普通に売っているマーガリンは、トランス脂肪酸を含む代表的な商品です。そんなマーガリン、是が非でも避けたほうがよいのでしょうか。ハーバード大学で主に予防医療について研究を行っている医師の浜谷陸太氏が、最新の科学的知見を紹介します。 トランス脂肪酸が健康に悪いのは間違いない アメリカでのトランス脂肪酸の厳密な制限には、歴史があります。1900年初頭より、動物性脂肪(バターなど)は健康に悪い、ということが知られていました。そこで植物から脂肪を作る試みが行われ、最初にショートニングとして商品開発に成功しました。そしてマーガリンが開発され、なんとバターと異なり「冷蔵庫から出してすぐにパン
「就活で内定が取れたら、このバイトは辞めるつもりです」と公言していた大学生のAさんがバイトを辞めていたことを知った知人が、「あのAさん、内定取れたんだね」と発言することもあるだろう。しかし、これは怪しい発言で、就活で内定が取れていなくてもバイトを辞めることもあるはずだ。 この種の発言で困るものとして、たまに「逆に言うと…」という発言を聞く。たとえば、Aさんが「選挙権は18歳以上です」と言ったとする。それを聞いたBさんが、「逆に言うと、この前の選挙にCさんは行ったでしょ。だから、Cさんは幼い表情をしているけど、18歳以上なんだ」と言うことはあるだろう。 論理の問題がわからない大学生 このように「逆」という言葉は、本当は注意して使いたいものである。そして昔から、「逆は必ずしも真ならず」ということわざがある。15年ぐらい前の文系理系を問わない一般教養的な筆者の授業では、大概の大学生は知っていた。
日本株が好調だ。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)は、5月に入ってから平成バブル崩壊後の最高値を更新。6月も7日にそろって再び更新した。 「日本株の復活」についての要因はさまざま挙げられるだろうが、TOPIXの年初来リターンは約18%(6月9日現在)であり、米国株の代表的な指標であるS&P500種指数(同約12%)を上回っている。年末まではまだ長いが、このままなら2022年に続いて2年連続で日本株が米国株をアウトパフォームする(上昇率で上回る)ことになる。 日本株好調の「真の要因」は何か 一方、ドイツ、韓国、台湾などの株価指数は2023年初から日本株に先行して上昇していた。実は日本株は4月まで出遅れており、5月半ばからの大幅高で、それらの国の株価にほぼ追いついた。米国株や中国株への投資資金が年初から米中以外にシフトする中で、5月に日本株にも本格的な投資資金が入ったとみられる。 ちなみ
この夏期・冬期の有給休暇制度は、日本郵政グループにおける正社員と期間雇用社員の同一労働同一賃金違反についての一連の裁判の中で、2020年10月、最高裁が「正社員と非正社員の間に不合理な格差がある」と判示した労働条件の1つで、日本郵政グループがどのように改善を行うかが注目されていました。 今回明らかになったその結末は、期間雇用社員に1日の夏期・冬期の有給休暇が与えられることとなった反面、正社員側は、休暇日数が3日から1日に削減され、休暇制度の縮小均衡により同一労働同一賃金を図るという着地点でした。 同一労働同一賃金は、法律および社会の要請であることは確かですが、今回の日本郵政グループの対応のように、正社員の労働条件を切り下げる形で実現することは可能なのでしょうか? 仮に合法になる余地があったとしても、労務管理のあり方として妥当性はあるのでしょうか? 本稿では、その点を掘り下げていきたいと思い
4月初旬、中国が超電導リニアモーターカーの浮上運行に初めて成功したというニュースが報じられた。日本ではリニア中央新幹線の2027年開業が事実上困難となる中、この報道を受けて「リニアの本格営業運転開始は中国が先かも」という声も一部から聞かれる。 中国では2020年に、設計最高時速600kmをうたうリニア試作車が試験走行を実施しているが、今回の超電導リニアはこれとは別だ。また、上海では空港と市街地を結ぶ最高時速430kmの高速リニアが営業運転しており、約30kmの短距離路線とはいえすでに約20年の実績がある。中国のリニア開発の現状はどうなっているのだろうか。 3つのリニア研究プロジェクト 今回のリニア浮上運転試験を行ったのは、世界最大の鉄道車両メーカーである中国中車(CRRC)傘下の中車長春軌道客車だ。同社は「高温超電導リニアの全要素試験システムの初の浮上運行に成功」したと発表した。試作的な車
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世界の投資家たちから、日本円が捨てられる日 この国は今、未曽有の危機に直面している。 かつて「エコノミック・アニマル」と称され、一気呵成に経済成長を遂げた戦後の栄光は、今や見る影もない。 国が抱える、月まで届きそうなほど積み上がった負債。先進国のなかで最も深刻な少子高齢化。新たな産業が育たず、イノベーションが生まれる土壌がない。平成以来続いている「失われた30年」は終わる気配がない。 「一流国」から「二流国」へ転落したかのように思われるこの国に、逆境の嵐が吹き荒れている。円安だ。かつて安倍政権が推し進めた経済政策・アベノミクスの「第一の矢」である金融緩和が尾を引き、日本銀行(以下、日銀)は紙幣を際限なく刷り続けている。これが昨今の円安を誘引した。 2022年12月、日銀はこれまで続けてきた金融緩和策を一部改めることを決定し、約0・25%に抑制してきた長期金利を、約0・5%に引きあげる方針と
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10月14日、イギリス・ロンドンの美術館で環境活動家が、ゴッホの代表作「ひまわり」にトマトスープをかけるという事件が起こりました。「エコテロリズム」という批判がある一方で、「当事者の抱える困難を想像し、『学ぶ力』が日本には欠けている」と指摘するのが、経済思想家で東京大学大学院准教授の斎藤幸平氏です。いったい、どういうことなのか。自身の学びの過程を描いた新刊『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』を上梓した斎藤氏が解説します。 「礼節のない人たちですねえ。主張があるなら訴える方法はいくらでもあるのに、すぐ直接行動に出る。精神の「浅さ」を感じさせます」 2人の若者たちは、ロンドン・ナショナル・ギャラリーに展示されているゴッホの名作「ひまわり」に近づくと、作品にトマトスープをかけ、自らの手を接着剤で壁に貼り付けた。彼らは「ジャスト・ストップ・オイル(とにかく石油を止めろ)」という
先週末10月28日のアメリカ株式市場では、NY(ニューヨーク)ダウ工業株30種平均が前日比828.52ドル(2.6%)と急伸。結局6連騰となり、終値も3万2861.80ドルと2カ月ぶりの高値となった。 一方、ナスダック総合指数も同309.77ポイント(2.9%)高の1万1102.45ポイント、S&P500種指数も93.76ポイント(2.5%)高の3901.06ポイントと上昇して取引を終えた。 NYダウは一段の上昇へ向け「大きな関門」を突破 NYダウを押し上げたのはアップルだ。同社の2022年7~9月決算で売上高と1株当たり純利益が市場予想を上回ったことで、株価は前日比8%高となった。また、ほかのハイテク株にも買いが波及し、マイクロソフト(同4%高)、インテル(同11%高)、さらにはキャタピラーやマクドナルドもあらためて買われた。 NYダウは9月末の引け値ベースの安値2万8725.51ドルか
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