ブックマーク / saga135.hatenablog.jp (169)

  • まほろばの月  十一章 - 人生は花鳥風月

    清吾が齎した急報は阿弥を震撼させたが名古屋の仕事を疎かにする訳には行かない。当初は余裕を持ってする筈だった仕事を急行する事にした。既に準備万端整えていたお陰で慌てる必要が無かった事は幸いであった。 だが頭(かしら)の仇討ちと言わんばかりに、血気に逸った子分達の様子を憂慮した阿弥は改めて忠告を施す。 「お前ら、落ち着け! いいか、一家の掟を忘れるんじゃねー、あくまでも冷静沈着に事に当たらなければ絶対に下手打つんだよ、酷な言い方だけど頭もそれで死んじまったんだ、あいつはその事を身を持って教えてくれたんだよ、お前らの想いは想いとして嬉しい、だが仕事は別だ、感情的になったら負けなんだよ、分かるな!」 「へい、分かりました」 「じゃあ行くか」 阿弥に諫められた子分達は己が分を再認識し、粛々と動き出す。月夜に照らされ仕事に赴く彼等の姿は静寂の中にも勇ましく、美しく冴えている、それはとても裏社会に生き

    まほろばの月  十一章 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/05/24
  • まほろばの月  十章 - 人生は花鳥風月

    阿弥が正月を名古屋で迎えたのには一応の理由があった。一つは一刻も早く名古屋入りし仕事に専念したいという気持ちと、もう一つは東京に居れば何時まで経っても英二の事が忘れられない、その未練をいち早く払拭したいという彼女なりの切実な願いであった。 無論英二の事を忘れられる訳など無いし忘れたくも無い。だが、まだ志半ばな状態でその事を引きずって行く事は、これから一大決戦に挑もうとしている阿弥にとっては余りにも危険だからである。その為にも名古屋では是が非でも下手を打つ事は出来ない。阿弥は十二分に策を練り、東京では英二が清吾を密偵に使っていたように名古屋では既に波子に隠密行動を執らせていたのだった。 熱田神宮で初詣を済ませた阿弥は子分達と別れ、一人で波子に会っていた。波子は清楚な服装で正月らしい晴れやかな顔つきをして阿弥に挨拶をする。 「親分、あけましておめでとう御座います、今回謹慎を解いて下さって当に

    まほろばの月  十章 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/05/23
  • まほろばの月  八章 - 人生は花鳥風月

    時は来た。この1ヶ月余りで綿密に練り上げた策と清吾から得た情報を元に輝夜一家は動き出す。阿弥が下知を下す。 「行くぞ!」 その美しくも勇ましい一声に勢いづいた一行は疾風の如く素早い動きで出発し、霧のように姿を消したと思うと一瞬にして現場に到着していた。 深夜2時過ぎ、まず一軒目の事務所はいとも容易くその扉を開けられ中にあった金庫は丸ごと奪われ車に蔵(しま)い込まれる。この事務所はヤミ金業者の一支店に過ぎず、他には目ぼしい物も置いていない。こんな調子で3つの支店の金庫を難なく奪い逃走する一家。阿弥は取り合えず一息ついていた。 暮れも押し迫った12月27日、御用納めの前日に決行したいという阿弥の想いは些か性急であったようにも思われる。清吾はその事だけが心配であったが十六夜の阿弥に夜桜英二、この二人に失敗という文字は無い。それは今までの歴史が証明している。清吾はその願いを胸に今宵少し色鮮やかに見

    まほろばの月  八章 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/05/21
  • マネーの鳥 「どこでもドア」 - 人生は花鳥風月

    司会 Y「その男は、幼少の頃からドラえもんが好きで好きで仕方なかったと言います、 そして、成れるものならドラえもんに成りたいとさえ思っています、この世間 の一般常識から乖離したような考え方は稚拙で愚かなのでしょうか? それで も男は夢を捨てる事は出来ないと言い放ちます」 どこでもドア 志願者「何処でも行太郎、33歳です、宜しくお願いします」 司会Y「いくらを希望しますか?」 志願者「30億円です」 司会Y「その使い道は?」 志願者「どこでもドアの製造費です」 鳥達は怪訝そうな表情を泛べ志願者の顔を凝視する 🤨 😕 😦 だが志願者はあくまでも毅然とした態度を崩さない 🙂 鳥N「その~どこでもドアというのは何なのですか?」 行太郎「アニメのドラえもんに出て来る魔法のようなドアで、それを使えば一瞬に して何処へでも行けるという道具です」 鳥K「これは完全にふざけてますわぁ、え~」😤 鳥

    マネーの鳥 「どこでもドア」 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/05/21
  • マネーの獅子  ギャンブラー - 人生は花鳥風月

    晩春の  風情空しく  梅雨入りか(笑) 皆さんおはようございますヾ(^∇^)♪ しかし陶しい天気が続きますね。この前まで菜種梅雨と言われていたのに今度は真の梅雨入りと、まだ5月中旬なのに早過ぎますよね。これも異常気象の影響なのでしょうか、とすれば「花鳥風月」は感じられませんんね~、淋しい限りです 😢 そんな中、自分は最近マネーの虎に嵌っています。あのテレビ番組は当に面白かったですね。何が一番面白かったかと言えばやはり虎達の表情ですね。志願者が出て来て抱負を語った後の虎達の何とも言えない複雑で神妙な面持ち。自分はここで爆笑していました(笑) 役者ですよね、成功した人は顔つきにも何か真実味が窺えます。 今やっている令和の虎もそこそこは面白いですが、元祖マネーの虎と比べるとやはり見劣りしますね、全ては時代の流れなのでしょうか。 という事でマネーの虎のパロディーを幾つか思い付いたので、披露

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    suoaei 2021/05/19
  • まほろばの月  七章 - 人生は花鳥風月

    冬空に輝く月は殊更冷たく感じる。余り深く考えずに表の仕事に勤しんでいた波子ではあったがやはり一家や清吾の近況は気に掛かる。清吾と違い彼女の下には何の連絡も入って来ない。何れ謹慎は解ける訳だが淋しい気持ちは簡単には誤魔化せない。波子はただただ謹慎が解けまた訪れるであろう阿弥や清吾との再会に希みを託すのであった。 一方清吾は隠密裏にもまだまだ精力的に諜報活動に精を出す。美子から訊いた話では被害者の数は計り知れず、奴等が囲っている女性も元々はヤミ金被害者でその傍若無人な振る舞いは目に余る。 そんな中、美子が紹介してくれた真由美という女性があっさりと清吾に協力してくれた。彼女は家庭があるにも関わらずヤミ金業者に依って女の操を奪われ、今では奴隷のように扱われているらしい。彼女はとっくに風俗に売られ金もかなり返済した筈なのに借用書すら見せて貰えず、金の話をすれば暴力を振るわれ、警察や弁護士に相談すれば

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    suoaei 2021/05/17
  • まほろばの月  六章 - 人生は花鳥風月

    一家で数々の策が講じられていた頃、清吾は頭に言われたように陰から尽力するよう隠密行動を開始する。彼が真っ先に目を付けたのは言うまでもなくヤミ金被害者の女性であった。 彼女達はただ遊ぶ金欲しさにヤミ金に手を出してしまった者もいれば、生活が困窮し止む負えず借りざるを得なかった者もいる。清吾が的に絞ったのは当然後者でその実情を探るべく彼女達の生活を監視し出した。 世間は狭いものでヤミ金被害者は意外にも清吾の周囲に存在していた。彼が表の仕事仲間とたまに飲みに行くバーのホステスは前々から目を付けていた女性であった。彼女曰く、 「私はシングルマザーだから人一倍働かないと子供を育てて行けないのよ」 と何度も愚痴を零していた。それにしても昼間も仕事をしておきながら何時行っても店に居たので怪しいと踏んだ清吾の勘は正しかった。そのホステス、美子は綺麗な容姿で明るく振る舞ってはいるが、何処か翳のある雰囲気を醸し

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    suoaei 2021/05/15
  • 青春七五三 ~いちごの日 - 人生は花鳥風月

    皆さんおはようございますヾ(^∇^)♪ いやいや、最近ブログ執筆を疎かにしてしまい応援して下さっている方々には当に忝く、汗顔の至りです 😅 やはりブログは大切ですね。ブログ作成をサボった日は自分自身の誓を破っただけではなく、天を欺いた気持ちになり調子も出ませんね。改めてブログの力を感じたような気がします(笑) という事で(どういう事やねん!?)今日は久しぶりに2記事作成したいと思います。まずは恒例の記念日特集ですね^^ 青春七五三 一般社団法人・日記念日協会が1995年(平成7年)に制定。 幼い子どもの成長を祝う「七五三」から10年過ぎた13歳、15歳、17歳の青春真っ盛りの少年少女に、これからの人生に対して励ましのエールを送ろうという日。また、大人へ成長する通過点として、社会性を身につけてもらうことも目的の一つ。日付は11月15日の「七五三」から半年後にあたる日を記念日とした。 青

    青春七五三 ~いちごの日 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/05/15
  • まほろばの月  三章 - 人生は花鳥風月

    清吾の憂慮も他所に時間は刻々と進み、冴え冴えとした月に見守られながら一行は出発した。 車の中でも清吾と波子は一切口を利かずにただ仕事の段取りだけを考えている。そうする事でしか気持ちを紛らわす事は出来ない。阿弥はあくまでも悠然と構えている。その姿はまるで不動明王のような佇まいで一行の気を安んじてくれる。清吾はいくら親分であるとはいえ、女である阿弥と己が器の違いに愁嘆していた。 目的地に着いた一行は東京の時と同じようにして店の前で監視し頃合いを見て襲撃する。息を殺すようにして物音一つ立てずに押し入る一味。この忍者のような華麗にも俊敏で一糸乱れぬその技は彼等の鍛え抜かれた身体、研ぎ澄まされた神経、そして固い絆の賜物であった。 一軒目では難なく事を成就させ金とカードを奪い取る。怒りと恐怖に錯乱している店の者を後目(しりめ)に清吾は 「ざまー見ろコノヤロー!」 などと悪口を叩いてしまった。阿弥は車の

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    suoaei 2021/05/11
  • まほろばの月  二章 - 人生は花鳥風月

    繋ぎ役を任された清吾は各地に散らばる一党に連絡を入れ段取りを告げる。親分の阿弥が率いる東京を皮切りに名古屋、大阪、広島、福岡、宮城といった順番で仕事に着手する。無論地方には阿弥自らが出向く。それまでに入念な、いや完璧な下調べをしておく事を指示する清吾。 名古屋支部で働く波子は仕事の趣旨、つまり阿弥の意向を素早く汲み取り今回の仕事には実にハリキっていた。気が逸って仕方がない、彼女は何時も以上の素早い動きで店の内情に探りを入れ皆と共に計画を練り上げる。後は親分の到来を待つばかり、しかし久しぶりに仕事を同じくする清吾の事は心配でならなかった。 阿弥が提起したから丁度十日、全ての段取りが決まった。的に掛けられた店は東京が10軒、地方はそれぞれ5軒。何れも悪評高いトップクラスのぼったくりバーで決行日時は東京が今夜で名古屋が翌日、大阪が明後日と連日立て続けに取り行い、深夜2時から明け方までの間に迅速に

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    suoaei 2021/05/10
  • まほろばの月  一章 - 人生は花鳥風月

    日中燦然と照り輝く太陽に対し夜に冴え冴えしく映える月。太陽の陽射しが力強さの象徴とするならば、月の光彩は万物を優しく癒してくれる美の象徴にも思える。そういう意味では太陽は男で月は女と言っても過言ではない気さえする。 彼等が仕事に赴く時間帯は専ら夜であった。現代の鼠小僧を気取るこの窃盗集団は名を輝夜一家と称し女親分である十六夜(いざよい)の阿弥を始め、頭(かしら)の夜桜英二、子分の直、竜太、清吾、他から成る構成員と全国各地に散らばる一党を含めれば約100人規模の反社会勢力を築いていた。 この盗賊のスローガンは当然強気を挫き弱気を助ける、そして生殺与奪が御法度なばかりか犯さず傷つけず、職の極道とも一切関わってはいけないという厳しい掟が強いられていた。無論その事に異を唱える者など一人もいない。一行は阿弥の下に一致団結、強い絆で結ばれていたのだった。 阿弥は言う。 「とにかく半端な事だけはするな

    まほろばの月  一章 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/05/08
  • ヨーロッパ戦勝記念日 ~薬師縁日 - 人生は花鳥風月

    薄曇り  舞う鯉のぼり  何想う(笑) いよいよ今日明日でGWも完全に終焉ですか~。つい十日程前に「GWの心得」なる記事を綴ったのが懐かしいぐらいですけど。当に月日の経つのが早過ぎます。年老いた証拠ですかね。 ま~自分は子供の頃からこんな事ばかり言っていましたけど。生来ナマクラであったというか日常(平日)が嫌いというか、とにかく過ぎた事ばかりに目を当ててしまう癖があります。要はメンタルが弱いのでしょうね、情けない話です 😢 鯉のぼりのようにもっと元気に勇ましく生きて行かねばなりませんね。 という事で(どういう事やねん!?)、今日5月8日の記念、行事などについて書いて行きたいと思います。 ヨーロッパ戦勝記念日(VEデー) 1945年(昭和20年)のこの日、第二次世界大戦を起こしたドイツが、連合国軍に対して降伏文書に調印して無条件降伏した。 連合国がヨーロッパにおける勝利を記念して設けた日

    ヨーロッパ戦勝記念日 ~薬師縁日 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/05/08
  • 早熟の翳  最終話 - 人生は花鳥風月

    人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し。とは言うもののこの時の誠也の足取りは余りにも重い。彼等との訣別、自分自身の人生観、色んな想いが錯綜する。ついさっき腹を割って話をする気になっていた筈がいざ足を踏み出すと身体が思うように進んではくれない。こういう心境はいくらヤンキーの王道を歩んで来た誠也にも少し躊躇いを投げかけて来る。 彼のそんな蒼とした想いすら笑い飛ばすかのように桜は未だ散り行く姿を見せず、その行く手を燦然と照らしてくれる。誠也は公園のベンチに腰を下ろし一服して気持ちを静めていた。 鳥の囀り彼の心を癒やし春の柔らかいそよ風は辺りを和やかにしてくれる。一片の桜の葉が誠也の頬に華麗に舞い降りて来る。まり子はこの桜が大好きだった。昔デートしていた時も桜の葉が二人の気持ちを包んでくれた。この前作ってくれた桜ごはんの事も思い出す。桜の花言葉として精神の美、優美な女性というのがあるが彼女の存

    早熟の翳  最終話 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/05/07
  • 上級国民って何? ~感情の必要性 - 人生は花鳥風月

    この件については触れるべきか否か大いに迷いましたが、やはり触れない訳には行きませんね。寧ろ触れる必要があるようにも思われるのですが。 先日公判が行われた池袋暴走事故。飯塚被告は相変わらず眠たい事ばかり抜かしていたみたいですけど、この人は言うに及ばずこういう事件、事故が後を絶たない現代社会を憂慮せずにはいられません。当にやり切れませんね........。 上級国民って何? news.nifty.com 上級国民(じょうきゅうこくみん)とは、一般国民とは違う上級の国民を表す、ネット上などで用いられている俗語(インターネットスラング)である。2015年および2019年に、新語・流行語大賞の候補になった。 最初の用例として確認できるものは佐々木惣一によるものである。1916年大正デモクラシーの際に憲法学者の佐々木が『立憲非立憲』の中で「門地や職業に依て限られた範囲の国民」を「上級国民」と名付けた

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    suoaei 2021/05/06
  • 早熟の翳  二十六話 - 人生は花鳥風月

    久さんの言説に従いヤクザの顧問弁護士を辞めた誠也は路頭に迷っていた。それにしても久さんとの別れは余りにも儚く感じられて仕方ない。この数年間は一体何だったのだろう。永久(とわ)の別れになってしまったのだろうか、そんな筈はない、彼は近い内に復活してまた自分を呼び戻してくれる。誠也はそんな淡い夢を観ながら一時放心状態の日々が続いていた。 だが何時までもまり子の世話になる訳にも行かず次なる就職先を探し出す。まだ経験の浅い誠也は個人で法律事務所を立ち上げる手腕も信用も金も無い。しかし何処を見てもパっとした事務所は見当たらない。職探しに翻弄していると以前お世話になっていた林田先生の事が気に掛かった。 あの先生は「何時でも戻って来ていいから」と言ってくれていた。これをバカ正直に好意と受け取っていいものだろうかと戸惑う所ではあるが、当たって砕けろと思った誠也はダメ元で林田先生の事務所を訪れる決心をする。

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    suoaei 2021/05/05
  • 5月5日 レゴの日 ~熱中症対策の日 - 人生は花鳥風月

    鯉のぼり  雨にも負けぬ  志(笑) 今日5月5日は立夏にして子こどもの日、端午の節句などの色んな記念、行事が関連付けられていますが、今年の春は例年になく雨が多いように思えます。でも雨が結構好きな自分としては少し嬉しい気持ちさえ芽生えて来ます。 そんな変わり者の自分が少し気になった日の記念、行事について語って行きたいと思います。 レゴの日 デンマークのブロック玩具「レゴ(LEGO)」を販売するレゴジャパン株式会社が2002年(平成14年)に制定。 日付は「レ(0)ゴ(5)」と読む語呂合わせと、「こどもの日」であることにちなんだもの。また、2002年はデンマークでレゴ社が設立されてから70周年、日で販売されてから40周年に当たることから、この年に、より多くの人にレゴブロックをPRすることが目的であった。 「レゴ(LEGO)」の名前は、「よく遊べ」を意味するデンマーク語「Leg Godt」

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    suoaei 2021/05/05
  • 早熟の翳  二十五話 - 人生は花鳥風月

    花鳥風月。満開に咲き誇る桜は実に美しく、人々の心を晴れやかにしてくれる。 月日は流れ久さんは次代の若頭が有力視され、誠也は弁護士でありながら事実上は安藤組のナンバー2の貫目を漂わす。あの事件から何年が経ったのだろう、今では清政や健太の情報など何も耳に入って来ない。 だがもう自分から手を差し伸べる事も出来ない。この間(かん)まり子と同棲し出した誠也はあの二人の事をなるべく考えないように勤めていたのだった。 同棲しているとはいえ看護師であるまり子とは擦れ違いの生活が多い。しかし優しいまり子は夜勤の時ですら何時も誠也の事の世話だけは欠かした事がなかった。 今朝の献立は春に因んだ桜ごはんであった。薄紅の桜の花が器全体を明るく彩るごはんは香りやうま味だけではなくべている者の心まで朗らかにしてくれるようだ。 彼女らしい粋な計らいだ。恐らくまり子は昨日夜勤に出る前に丹精込めて作っていたのであろう。誠

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    suoaei 2021/05/04
  • 早熟の翳  二十二話 - 人生は花鳥風月

    「あ~ら久しぶり、御機嫌よう」 まり子は相変わらずの陽気な面持ちで貴族みたいな口調で語り掛けて来た。 「何だよお前、何かいい事でもあったのか? えらく陽気そうだな」 「今貴方と会ってる事が一番嬉しいのよ、一々言わせないでよ」 「ありがとう」 「貴方もちょっとは嬉しそうな顔しなさいよ、いくら弁護士になったからってそんな陰気な顔は貴方には似合わないわよ」 「そうだな・・・・・・。」 ヤンキーの王道を歩んで来れたのが誠也の天性であるとすれば、まり子の天真爛漫さも天賦の才のような気もする。だがこれまで誠也がまり子の落ち込んでいる所を見た事がない点を踏まえればその才能はまり子の方が1枚上なのかもしれない。 誠也は取り合えずまり子の近況を訊く。 「ところで看護師の仕事は順調なのか?」 「そうね、今の所は」 「ま、お前の事だから何の心配もいらないだろうけどさ、そういえば誰かも看護学部だったな」 「聖子の

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    suoaei 2021/05/01
    sagaさん、いつもありがとうございます。
  • 5月の始まり 語彙の日 ~釜めしの日 - 人生は花鳥風月

    皐月空  優雅に泳ぐ  鯉のぼり(笑) いよいよ5月ですか。正月が過ぎ、寒い冬が過ぎ、この前3月桃の節句と思っていたら既に桜も散り4月も終わって早や5月と。当に月日の経つ早さは怖いぐらいですが。 毎日何かの記念が関連付けられていますが、今日5月1日は調べた所でも 八十八夜 「令和」改元の日 メーデー 日赤十字社創立記念日 扇の日 スズランの日 水俣病啓発の日 語彙の日 カリフォルニア・レーズンデー 宅配ボックスの日 恋がはじまる日 鯉の日 コインの日 自転車ヘルメットの日 恋の予感の日 仕込の日 緑茶の日 新茶の日 資格チャレンジの日 釜飯の日 あずきの日 省エネルギーの日 と実に多種多彩で、1年を通してもかなり多い方ではないでしょうか。その中でも自分が気になったのを掻い摘んでレビューして行きたいと思います。 語彙の日 まずはこれですね。語彙力は大切ですよね。特にブログを作成する上で

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    suoaei 2021/05/01
    sagaさん、いつもありがとうございます。
  • 早熟の翳  二十一話 - 人生は花鳥風月

    辞意を伝えた誠也を林田先生は大して引き留めるような事もせずただ一言 「何時でも戻って来てくれても結構だから」 と優しい声を掛けてくれた。奥方まで笑って見送ってくれる。その光景はまるで親が我が子の自立する姿を見ているような誇らしげな感じさえ漂わす。 そんな様子に感涙する誠也ではあったが、立つ鳥跡を濁さず、自分のデスクや身辺のものは何一つ残さず綺麗に掃除をし片付ける。僅か10ヶ月足らずで事務所を辞める事になった自分の勝手な振る舞いを大いに恥じ、世話になった二人には深々と礼をして立ち去る。しかし誠也にはまだ一抹の不安が残っていたのも事実であった。 事後報告を訊いた母は狂ったように悲しみの声を上げ、姉と一緒になって誠也を叱る。誠也も何度も母に頭を下げ詫びを入れる。 「母さん、ほんとにすまない、でも俺は自分の事は自分で決めたいんだ、これからも親不孝は絶体にしない、取り合えずここを出て行くよ」 と言っ

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    suoaei 2021/05/01
    sagaさん、いつもありがとうございます。