わかみや・さとし/10代でイランに魅せられ、20代より留学や仕事で長年現地に滞在した経験を持つ。近年はイラン人に向けた日本文化の発信にも力を入れている。イラン・イスラム共和国の検閲システムは国外にも及んでおり、同国の体制に批判的な日本人はすべて諜報機関にマークされる。そのため、体制の暗部を暴露した『イランの地下世界』(角川新書)の出版にあたり著者はペンネームの使用を余儀なくされた。 あなたの知らない「イラン」 イスラム体制による、独裁的な権威主義国家として知られるイラン。日本ではイランの情報は極めて少ないが、実はイランは大の親日国である。日露戦争の勝利や日章丸事件、日本製家電や「おしん」の人気などに加え、1980年代以降に日本へ出稼ぎにやってきた大勢のイラン人労働者たちが日本びいきになり、帰国後に「日本はいい国だ」と宣伝してくれたことが大きかったという。今も多くのイラン人は「日本はいい国」