20年以上前になる。「英国本ブーム」というのがあった。 火付け役は林望さんという上品な風貌の書誌学者さんで、ご自身がケンブリッジに滞在したときの体験や見聞を、軽妙かつ上品に綴ったエッセイがバカ売れしたのだ。それまでのステレオタイプを覆すような『イギリスはおいしい』という書名のインパクトも手伝って大ヒットした。新聞でも雑誌でもどこでも、「リンボウ先生」(林望さんの愛称)の顔写真とインタビューや短文を見かけた。『イギリスはおいしい』に続き、『イギリスは愉快だ』という続編も出た。版元は平凡社で、1991年3月と11月に出ている。どういう本なのか知りたい方は、ある個人サイトさんに読書記録が掲示されているのがコンパクトで、余計なノイズがなくてわかりやすいと思う。(というのもこの本、文章は洒脱だし、著者の観察眼は鋭いし、単に「おもしろい」のだが、「調べもせずに適当なことを書いている」状態だったり、今の