皮肉と言うほかない。1月21日、インターネットの利用に関して中国政府が自国民の権利を侵害していると、ヒラリー・クリントン国務長官が語気を強めて非難していたまさにそのとき、当のアメリカで民主主義が息絶えようとしていたのだから。 いまアメリカの国際的威信は、過去半世紀で最も弱まっている。21世紀最初の10年は、アメリカの国際的威信を支える3つの重要な柱のうちの2つが大きく揺らいだ時代だった。 第1に、キューバのグアンタナモ米軍基地やイラクのアブグレイブ刑務所で収容者に対する人権侵害が横行していたことが明るみに出るなど、ブッシュ政権時代の行動により、「法の支配」の擁護者というアメリカの国際的なイメージに傷が付いた。 第2に、08〜09年の経済危機により、アメリカの経済システムに重大な欠陥があることが浮き彫りになった。アメリカが世界に説いてきた自由市場重視の経済モデルは、厳しい批判を浴びるようにな