動植物や微生物などの遺伝情報(遺伝資源)を元に開発された医薬品や食品などの利益を、原産国にどう配分するかの国際ルールを作る交渉が大詰めを迎えている。10月に名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の事前会合がカナダ・モントリオールで18日から開かれるが、豊かな遺伝資源の対価を得ようとする途上国と、資源を利用したい先進国との対立は根深い。(杉浦美香) 「これでまとまるのか、暗(あん)澹(たん)たる気持ちだ」 今月初め、COP10に向けて開かれた市民団体との意見交換で、田島一成環境副大臣はこう吐露した。 COP10の主要議題で最大の難関とされるのが遺伝資源の利用と利益を公平に配分するためのルール(議定書)作りだ。 2001(平成13)年の作業部会で議論が本格化。しかし、遺伝資源を化学合成した際にできる物質まで含めるよう主張する途上国と、開発に多大な資金を投入した利益を守