首都圏のSuicaやPASMO、関西圏のICOCA、中京圏のTOICAなど、全国各地で展開する10種類の交通系ICカードの相互利用が2013年3月にスタートした。交通系ICカードは乗車券として使えるだけでなく、「駅ナカ」や「街ナカ」の小売店、飲食店などで電子マネーとして支払いにも利用できる。全国の主要都市圏別に、交通系ICカードの賢い「使い分け術」を探った。【首都圏】 基本的にSuicaで十分、私鉄中心ならPASMOも一考首都圏での乗車や買い物の場合、ビューカード(タイプ1[注])でチャージしたモバイルSuica(スイカ)を利用すれば用途を問わず1.5%還元を確保でき、十分にメリットを得られる。ビューアルッテのATMが生活圏にあるなら、Suica一体型のビューカードでもOK。ビューサンクスポイントとSuicaの交換はATMで可能だ。チャージはATM利用の他に、オートチャージにする手もある。
トヨタ自動車が30日発表した4月の国内生産実績は前年同月比1.4%減の27万1880台と、8カ月連続で減少した。輸出は1.5%減の17万7401台で、3カ月連続の減少。国
深刻な中国軍の腐敗 戦闘機や戦車が次々…忽然と消えた非ステルス兵器 今年の全国人民代表大会(全人代)で、軍幹部らに握手して回る胡錦濤前総書記(手前右)と習近平総書記(手前左)。中国指導部にとって、軍紀の緩みは由々しき内憂だ=3月14日、北京の人民大会堂(AP) 素材や形状によりレーダーに捕捉されないステルス性能を備えた米軍F22戦闘機が日本に配備されると公表された2007年1月、小欄を仰天させるニュースが流れた。中国人民解放軍戦闘機が「忽然(こつぜん)と消えた」という。ステルス兵器開発は中国軍の悲願だが、技術上の課題は残っているはず。訝(いぶか)しく思いつつも記事の先を追う。結果、「忽然と消えた」のは「密売」に因(よ)った。香港の月刊紙・動向などが報じた「2004~05特殊案件調査チーム」の捜査資料には、自衛隊では有り得ぬ“異大(いだい)”な数字が並んだ。中国軍人の巨額「役得」 陜西(せん
【白鵬-稀勢の里】白鵬にすくい投げで敗れた稀勢の里(右)。初優勝に向けて痛い黒星を喫した =両国国技館 読者から匿名でこんな投書が小欄に寄せられた。「白鵬はきたない。横綱相撲ではない。優勝がかかっていたとはいえ、この大勝負にまさか横に変化することはないと思っていただけに大変憤りを感じている」。横綱白鵬がすくい投げで大関稀勢の里に辛勝した、夏場所14日目の全勝対決の立ち合いについてである。 事実上の優勝決定戦。7年ぶりの日本出身力士優勝の夢がしぼんだだけに気持ちはよくわかる。しかし「変化」とは立ち合い相手の体の正面に向かわず、とっさに左右どちらかに跳ぶことをいう。白鵬は立ち合い左で張って、すぐ狙いの左上手を取りにいき必然的に体が開いた。 白鵬の肩を持つわけではないが、変化とまでは言えない。かといって横綱にふさわしい立ち合いとは決して言えない。稀勢の里の圧力を警戒した奥の手かもしれないが、前に
防水加工をしたスマホは水中に沈めてもそのまま操作ができるという=東京都江東区の東京ビッグサイト 【田幸香純】スマートフォンを水の中に落としてしまっても大丈夫――。スマホ内部の電子回路を特殊な膜で覆い、外観はそのままで防水機能をもたせるサービスが7月から始まる。米国発の技術を、ベンチャー企業が日本に持ち込んだ。 始めるのは「モディクルー」(東京)。客から預かったスマホを分解し、半導体や電子部品が詰まった基板部分を厚さ0・01ミリ以下の薄い膜で覆う。ぬらすと水が本体内部まで入り込むが、心臓部が守られているため動き続けるという。米国の開発会社HzO社の技術で、同社技術を使ってサービス展開するのは世界初になるという。 7月から、iPhoneの「4」「4S」「5」の3機種を対象に防水加工を始める。費用は税込み5980円で、1〜2日で加工できる予定。今後、他メーカーのスマホやタブレット端末など対
分譲マンション大手の大京は、新築マンション「ライオンズ練馬レジデンス」(東京都練馬区)で、太陽熱を戸別に利用した給湯システムを導入した。屋上に戸別の太陽光パネルを設置し、集めた太陽熱を利用して各戸の貯湯タンクのお湯を温め、東京ガスの高効率熱源機「エコジョーズ」と組み合わせて、バスルームやキッチンに効率良く給湯するシステムだ。 採用したのは集合住宅向け戸別パネル屋上設置型「太陽熱利用ガス温水システム『SOLAMO』」。東京ガスがエコジョーズと組み合わせて昨年4月に発売した。1戸あたり年間で約2万8500円の経費が削減され、従来の給湯器と比べて年間340キログラムの二酸化炭素(CO2)が削減される。
アサヒグループホールディングスは昨年10月、サトウキビから生産できる砂糖の量を大幅に増やしながら、バイオエタノールも併せて生産する技術を開発した。トウモロコシなどからも作れるエタノールは化石燃料の代替品として需要が高まるが、大量生産をすれば食糧不足を招く恐れが指摘されていた。同技術を使えば、食糧の生産量を減らさずにエネルギーを生産できることから、食糧とエネルギーの双方の問題解決につながると期待が高まっている。 独立行政法人の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)との共同開発で生まれたこの技術は、砂糖とエタノールを従来と逆の順序で作る「逆転生産プロセス」と呼ばれる。サトウキビにはショ糖、ブドウ糖、果糖の3種類の糖が含まれているが、砂糖を生成するのはショ糖のみ。従来工程では、サトウキビの絞り汁をショ糖とそれ以外の糖分(還元糖)に分解した上で、ショ糖のみを砂糖として回収し、残った還元糖に酵母
JFEエンジと九電工が受注したのは、医薬品開発支援の新日本科学(東京都中央区)が鹿児島県指宿市に所有する敷地で整備するバイナリー地熱発電設備。発電能力は1500キロワットで2014年9月の稼働開始を計画。一般家庭約2500世帯分の電力消費量にあたる年間900万キロワット時の発電量を見込んでおり、全量を九州電力に売電する。国内で出力1000キロワットを超えるメガワット級の地熱発電設備の新設は1999年の東京電力の八丈島地熱発電所以来。
鉄道各社が太陽光発電事業に相次いで参入している。JR西日本や小田急電鉄、東武鉄道などが自然エネルギーで発電した電力を買い取る「固定価格買い取り制度」を活用。JR東日本や東京メトロは自社の鉄道運行や駅施設で使用している。多くの土地を抱える鉄道各社は、低リスクの資産活用策として太陽光発電に期待している。 JR西日本は、山口県内に所有する未利用地(9万平方メートル)に出力5000キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設する。年間発電量は約510万キロワット時。一般家庭約1020世帯相当分を見込んでおり、発電した電気は固定価格買い取り制度を使って中国電力に販売する。 今夏に着工、2014年冬ごろの稼働を目指す。建設場所は元産業廃棄物処理場。現在は使っておらず、同社は「遊休地の有効活用の一環」と説明している。 東武鉄道は、子会社の東武エネルギーマネジメント(東京都墨田区)が3月、栃木県佐
サトウキビから砂糖とバイオエタノールをつくる際、特殊な酵母を使い、従来とは逆の順番で生産すると、どちらの生産量も約2倍になる-。こんな新手法が開発され、注目されている。「逆転生産プロセス」と呼ばれるもので、今年の「地球環境大賞」の大賞にも輝いた。アサヒグループホールディングスの豊かさ創造研究所(茨城県守谷市)、小原聡バイオエタノール技術開発部長(40)に、開発秘話や新手法で実現したい夢などを聞いた。(月刊ビジネスアイENECO編集長 本田賢一) --逆転生産プロセスとは 「サトウキビには、砂糖の原料になるショ糖と、原料にならない還元糖(果糖・ブドウ糖)の2種類の糖分があります。従来の工程では、サトウキビの搾り汁からまずショ糖を結晶化させて砂糖を生産し、残った糖蜜(ショ糖の残りと還元糖)に酵母を加えて発酵させ、エタノールを生産するのが一般的でした。新プロセスでは生産順序を逆にして、エタノール
NTTドコモは、家庭に設置した太陽光パネルや蓄電池、電気自動車など計5つの電源から複合的に電力供給を受けながら、停電時の電力をまかなえる独自の「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)」を開発した。IT(情報通信技術)を使って家庭内で家電製品などへの電力需給を制御し、節電にも貢献するHEMSはこれまで、三菱電機や東芝、パナソニックなどの電機メーカーが市場を牽引してきた。ドコモは近くHEMSを導入したモデル住宅を販売する予定で、携帯電話会社としては初の試みが業界に風穴を開けそうだ。 仙台市中心部から北東に約7キロの住宅地、同市宮城野区田子地区。ここに新築したばかりの戸建てが16戸立ち並ぶ。見た目は周りの家と大差ないが、中身は「スマートハウス」。ドコモのHEMS技術を活用した省エネ住宅だ。 HEMSはITを使い、太陽光パネルや燃料電池など電力を「作る」装置、蓄電池や電気自動車(E
ソニーが消費電力を35%抑え、音質にもこだわった薄型スピーカーを載せた製品展開を加速している。省エネを実現したのは「磁性流体」と呼ばれる磁力に反応する溶液。6月発売の高解像度技術「4K」対応の液晶テレビも搭載される。音にこわるソニーらしい製品を支える技術として注目されている。 「アナウンサーの声でさえ聞き取りにくいという人もいる。薄型のスピーカーをパネルの中に配置したことで、音をしっかり出せるようになった」 ソニーが4月中旬、東京都内で開いた液晶テレビ「ブラビア」の新製品発表会。フルハイビジョン(HD)の約4倍の解像度を示す「4K」に対応した大画面テレビを前に、テレビ事業の責任者である今村昌志業務執行役員は音へのこだわりをこう強調した。
ヨーグルトや乳酸菌飲料といえば「お腹の調子を良くしてくれる食品」というイメージが強い。実は、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、整腸作用ばかりではなく、内臓脂肪の低減や感染予防など、菌の種類によって効果が多様なことがわかってきた。そんな「善玉菌」と上手に付き合う方法とは。我々の腸の中には多種多様な腸内細菌がすみ着いている。その数は9千兆個ともいわれ、体内の全細胞数の150倍にも及ぶ
AKB48の選抜総選挙の結果を予想する鳥取大学の石井晃教授(左)と、太田奨さん(中央)ら=鳥取市湖山町南4丁目 【山崎聡】映画のヒットを予測する数理モデルを考えた鳥取大学工学部の石井晃(あきら)教授(56)=物理学=らが、人気アイドルグループ「AKB48」の第5回選抜総選挙の結果予想に挑戦している。ファンらがインターネット上のブログに投稿した書き込みを分析。速報では意外なメンバーが首位に立ち、波乱の幕開けとなった選挙の結果をデータをもとに予想する。注目の開票は6月8日だ。 石井教授は、ネット上の口コミやうわさ、宣伝費を数値化し、物理学や数学を駆使して映画のヒット現象を予測する方程式を考案した。英国の物理学誌に掲載され、注目を集めている。 AKBの総選挙では、次のシングル曲に出られるメンバーを選出。石井教授が注目する理由は、得票数とブログへの書き込みが多いことだ。「政治家を選ぶ選挙では
サルの燻製とアジのいき造り、何が違うのか… @バンギ横たわるブッシュミートはともかく、座り方を正したくなるきょうこのごろ=いずれも23日、バンギ、中野智明氏撮影 ネコ科の何からしいけれど えいさ、ほいさ そんなに積まなくても…… そんなに積まなくても…… 歴代大統領の像の上にたなびく、中央アフリカの国旗 撮って、という人もいる 中央アフリカにはこれまで来たことがない。2000年から02年のナイロビ支局時代、記事を書いた記憶もほとんどない。調べてみると、クーデター騒ぎや象牙の密猟などの短い記事があるばかりだ。 そんな国に来たのは、ちょうど昨年のクリスマスあたりから年始にかけて、この国の反政府勢力が首都バンギを目指して進撃し、国軍の抵抗もあまりないままに次々と勢力範囲を広げて首都に迫ったからだ。 時を同じくしてマリでも北部を支配した反政府武装勢力が南進し、拠点都市を次々と制圧した。この両国とも
丸木舟で川へ 船頭小唄とともに @バンギエレファントノーズフィッシュ=いずれも24日、中野智明氏撮影 きれいに並べて、と しおもかないぬ、いまはこぎいでな。おぼつかない手つきで 引っ張るというより、引っ張られているよう 大漁! いえいえ…… こんなもんに…… こんなもんだった 川の中に踏ん張り、願いにも似た一投 何はなくとも、笑顔が一番 このたえなる均衡 24日の日曜日、ある取材依頼の結果を待つ間、朝のウバンギ川に行ってみることにした。中央アフリカはウバンギ川とシャリ川の間に国土が広がるので、フランスの植民地時代はウバンギ・シャリと呼ばれていた。独立前後に今の名前になった。 川から揚がった魚が道ばたで売られていたので、立ち寄る。エレファントノーズフィッシュが並んでいる。地元ではモルミルドと呼ばれる。 その姿をみて名前を聞けば、説明はいらない。もちろん魚に鼻があるわけではなく、この口で砂の中
停戦ラインを目指して @ングアカ逃げた森で生まれたジェリーちゃんを抱くメルビンさん=いずれも25日、中野智明氏撮影 この女の子、ネフタリちゃんも森で生まれたという なぜか、みんなで撮影 ねえ、その手はどんな意味があるの? まあ、運転席側じゃないから 急な取材が入る可能性もあるので、25日の昼はバンギにいなければならない。そこで、その日の午前中を利用して45キロほど離れたところにある、政府と反政府勢力が定めた停戦ラインに行ってみることにした。 昨年12月、様々な反政府勢力の集まりであるセレカが国の北東部から南西に向かって進みだし、次々に拠点の町を制圧した。セレカは年末にはバンギから75キロ離れたダマラに迫り、ボジゼ大統領の即時退任などを求めた。 この内紛はボジゼ大統領がクーデターによって政権を奪取した2003年の後に始まり、07年にいったん和平合意に達した。だが、その合意が守られていないとし
大統領と面会、建前と少しの本音 無風の官邸 @バンギフランソワ・ボジゼ大統領=いずれも26日、中野智明氏撮影 こわもてがゆるむ一瞬も 中央は通訳のウィリアムさん 部屋の外まで案内してくれた 取材が終わって 一国の大統領にインタビューをして言い訳するのも変だけど、このコラムは本来、そういう趣旨でやっているわけではない。ただ、通訳をしてくれているウィリアム・バンサン・ビヤンベヌさん(37)が「私に任せれば大統領インタビューはいつでもとれる。友だちだから」と言うので、そこまで言うならと頼んだ。ちなみにウィリアムが名字、ビヤンベヌが名前になる。 3日間、連絡を待ちながら取材する中途半端な日々を送ったが、そのかいあって26日、大統領に会うことができた。わけもないと言っていたウィリアムさんは、大変な喜びようだ。 前夜に26日の午前に会うという連絡が大統領本人からウィリアムさんにあった。そこで、この日は
奇妙な朝、停戦ラインはどこに? @ダマラダマラ市の看板前で、ゴネンジ市長とともに=いずれも27日、中野智明撮影 怖くて森に逃げたのだと話す、小学校のマヤコウ先生(右) 雑貨店主のムーサさん ダマラの少年 写真は恥ずかしい。写真は怖い 道ばたでマニョク(キャッサバ)を売っていた 27日は奇妙な朝を迎えた。知らないおばさんに突然、声をかけられた。テレビとか大統領とか言っている。何だろう。そのわけはしばらく後にわかった。 前日の大統領訪問が地元のテレビで放送され、それも「中央アフリカと日本の新たな友好関係に期待がもてる」などとやったらしい。単に風に吹かれて来ただけなのにと言いたかったが、その後、いろんなところでこの話題が出て、ほんの少し得もしたので、まあ、よしとしよう。 ブッシュミートをめぐって、偉そうなことを言ったけれど、この日はアフリカ中部で問題になっている野生動物の密猟の話を取材しようと考
密猟に悩む国々 写真撮影できたのは… @バミャヤリッセムさん=28日、バンギ、いずれも中野智明氏撮影 ゾコエさん。後ろは環境の重要性が書かれた森林資源省の門=1日、バンギ チンパンジーのボアリ=以下、1日、バミャ なぜか手をつないでくるので ダイカ。とてもすばしっこい 猿猿の仲 残り日数が2日になって、追いたいテーマも二つ。反政府勢力の支配地の様子を見に行くことと、中部アフリカ一帯で横行する密猟の話を少し聞くこと。どちらも1日では終わりそうにない。前日、反政府勢力が押さえている地域に入ることができなかったのが響いている。 中野智明さんは、読者の関心が高い密猟の話に集中した方がいいのでは、と言ってくれる。でも、反政府勢力の支配地に行きたいと最初に書いた手前、そちらを優先したい。28日は、その反政府勢力の支配地に入る許可とりから始めた。 といっても実際に飛び回ったのはウィリアムさんだ。合間を縫
道ばたと交わす視線 旅装を解いてみることに @バンギバンギ市内で、南アフリカ軍のパトロールをよく見かける=いずれも1日、中野智明氏撮影 この子たちは、なぜかずっと手を振っていた ボアリの滝。近くには水力発電所もあった 中央アフリカでは、ほとんど外を歩きませんでした。一つにはとても暑くてすぐに汗みずくになってしまうこと、最初の日に荷物を狙われるような出来事があったこと、それに、待機することがとても多かったことがその理由です。 バンギの町を車で走っていて感じたのは、軍服姿がとても多いことです。市の中心部付近では、国旗をはためかせた南アフリカ軍のパトロールによく行き交いました。地方に出ると「FOMAC」の緑色の腕章をした中部アフリカ多国籍軍の兵士たちの姿をよく見かけます。周辺諸国から停戦合意の監視のために派遣された兵士たちです。 街なかには表向き平穏が戻っているものの、まだまだ手放しで安定してい
旅の再開に高鳴る胸 3・11の東京で感じたこと アフリカをうろうろして5カ月ぶりに戻ってきた3月11日、東京はなんと緑の少ないところだろうと思った。でも、いつもより早い桜が散ってツツジもはや花じまいを迎えてみると、思い違いをさとる。目をこらしてもアフリカでは気づかなかった季節の移り変わりを、こんなにも鮮やかに感じさせてくれるありがたさを思う。 くっきりとした季節の折り目は、心の折り目にも通じる。季ごとに出直し、仕切り直しの気構えを用意してくれる。社会の仕組みがその機を後押ししてくれるかといえば、とても心もとないけれど。 ともあれ、仕切り直して「アフリカの風に吹かれて」を続けることになった。続けるとしたら、色々と見直して今度は十分に準備をしてと思ったものの、色んな事情でそれができない。前回の轍(てつ)を踏んで皮相な記事を並べるなと批判が聞こえてくるけれど、たぶん同じようなドタバタの旅になるだ
再び旅を始めよう 「仁王」以外に目を向けて@ナイロビナイロビに借りたアパートの周辺は静かな住宅地=ナイロビ、江木慎吾撮影 このコラムを再開するにあたり、ちょっと原点に立ち返ってみたい。ここで目指すもの、というほどの大げさではないけれど、それは普通の新聞記事とは全く違う何かだった。 新聞記事を書く時には狙いを明確にし、事前の準備をして取材に行く。「伝えたいこと」が明確であるほど、そして準備が万全であるほど、読む人には伝わりやすい記事になるだろう。 現場に行ってみないとわからないルポもある。それでも、こんなことが伝えられそうだと、ある程度の想定はしてゆく。何があるかわからないけれど行ってみようというような取材は通常、成り立たない。それをやってみようというのがこのコラムだった。 なぜそう考えたのかというと、まず朝日新聞にはアフリカを担当する記者がちゃんといて、大事なニュースはその記者、杉山正ナイ
アフリカのハブからちょっとした実験 @ナイロビナイロビ市内には日本の援助でバイパス道路の建設が進む 13年前、ロンドン経由でナイロビ支局に着任した。当時はそれが一般的だったと思う。昨年と今回はドバイ経由だった。これも今では一般的だろう。この十数年の間に、ドバイはすっかりハブ空港になった。 日本からの2階建て旅客機のエコノミー席はほぼ満席で、いくつものツアーに利用されているようだった。そのツアー客の多くはドバイからヨーロッパに向かった。ドバイの空港はとても忙しくて、60の出発便が並ぶ電光掲示板に、搭乗時間が迫っても出発便がなかなか掲示されない。 ドバイとは規模が違うけれど、ナイロビのジョモ・ケニヤッタ国際空港もアフリカのハブ空港の地位を築いている。空港の規模や施設の新しさは同じく南アフリカのハブのヨハネスブルクの空港に遠く及ばないが、大陸の南端にあるヨハネスブルクより位置的な条件には恵まれて
あの殺害現場へ、11年前と変わらぬ景色 @ナイロビナイロビのイースリー地区にあるジュルーサレムの小さな商店街。11年前には左の大きな木はなかった 「アフリカの風に吹かれて」は、11年前の4月に殺されたナイロビ支局の助手、デグワさんの墓参りから始めた。もうアフリカに戻ることはないと思っていた身にとって、まず行くべき場所はそこだった。 もう1カ所、行かなければと思っていたところがある。それはナイロビ市内のイースリーという地区にある「ジュルーサレム」というところだ。つまり「エルサレム」だ。 そこは、11年前の4月25日にデグワさんが強盗と思われる一団に撃たれて殺された場所だった。そんなつらい事件現場だから、行くのは気が重かった。昨年10月にケニアに来たころは毎週のようにイースリーで爆弾事件が発生していたこともあって、足が向かないままいたずらに時を過ごしてしまった。 ここはソマリア系の住人が多い。
ざわざわした日常へ 風に吹かれるままに @ナイロビナイロビで最大のスラム、キベラは市の中心からさほど離れていない=江木慎吾撮影 キベラの中の道は石だらけ=江木慎吾撮影 キベラの真ん中を鉄道が通る=江木慎吾撮影 ナイロビの地図 昨年10月からアフリカ各国を旅するコラムを続けている。3月にいったん日本に帰国するためケニアの首都ナイロビを去る直前、町は大統領選の結果待ちの緊迫の中にあった。結果的に負けたオディンガ前首相の支持基盤、市の中心部に近い大スラムのキベラでは、散発的に暴力事件が起きていた。 特集・アフリカはいま それから2カ月、大統領選は前回2007年のような大規模な民族間の流血もなく終わり、再び訪れたナイロビにはいくぶん将来への期待のこもった、ざわざわした日常が戻っていた。 いつも使うタクシー運転手のアントンとそんな話をしていて、キベラに行こうということになった。同じく巨大なスラムから
トタン扉をくぐって、路地へ、迷路へ @ナイロビキベラの迷路のような路地はごみだらけ たまたま診療所まで運ぶことになって、近くまでしか連れて行けなかった女性が気になった。元米海兵隊員のボランティアと言っていたサニーのこともなぜか引っかかったので翌日、タクシー運転手アントンを呼んで、もう一度キベラのスラムに行った。 キベラの入り口にさしかかると、この日は魚を焼くにおいがした。ナイロビにはちょろちょろ流れる汚れた小川しかない。魚は350キロほど離れた世界第2位の大きさの淡水湖、ビクトリア湖から運ぶらしい。 そのあたりはルオー族の人たちが多く住む。キベラの住人の多くも、そのあたりの出身者だ。前回も書いたけれど、今年の大統領選で負けたオディンガ前首相がルオーで、勝ったケニヤッタ大統領はケニアでは多数派のキクユだ。 オディンガ候補が劣勢を伝えられたため、キベラでの暴力沙汰が心配され、実際に小競り合いは
ハゲコウ舞う首都、変貌する街並み@ウガンダ・カンパラハゲコウの舞うカンパラの空。右奥の高いビルは建設の進むヒルトンホテル 高層ビルも目立つようになったカンパラ 南アフリカ系のスーパーの入るショッピングセンター=カンパラ、江木慎吾撮影 ウガンダとケニアといえば一衣帯水の間柄、アフリカ最大の淡水湖が間に横たわる。このコラムを再開して、ケニアからまずウガンダに向かうことにした。 ナイロビから飛行機で1時間足らず、首都カンパラ最寄りのエンテベ空港に降りると、よどんだ水のにおいがした。すぐそばにビクトリア湖がある。 ほぼ赤道上だが、標高は1100メートルを超えている。気温は30度までは達していないが、ナイロビに比べると少し蒸し暑い。 空港からカンパラまでは30キロ以上離れている。車で走ると、ビクトリア湖を隔てただけで、ケニアとは大きな違いに気づく。運転がとてもおとなしい。 記憶にあるカンパラへの道は
「神秘の湖」と桃色の夕日 @ビクトリア湖フェリーから降りるところではなく、これは車を乗せるところ まさに海という感じ 甲板を渡る風はさわやか 夕暮れで日差しはいくぶんやわらかに 島の緑が鮮やかに見えた 島は日ぐれて夕波はなく=いずれも江木慎吾撮影 ビクトリア湖へ。このアフリカ最大の湖が初めて強く印象に残ったのは、中島らもさんの小説「ガダラの豚」を一気読みした時だった。もう新聞記者をしていたが、その湖に来ることになるとは思いもせず、自分の中ではずっと呪術と神秘をまとった湖だった。 ナイロビ支局に勤務したときに、ケニア側の湖畔にあるキスムの町には行った。今回、ウガンダのカンパラから1時間ほどにあるナキウォコの桟橋からフェリーに乗って、セセ諸島を目指した。 湖の標高は1100メートルほどで、さほど暑さは感じない。GPS装置を見ると、船はだいたい時速18キロで進んでいる。しばらくすると、GPSの緯
サウジアラビアを中心に感染が拡大している新種のコロナウイルスによる感染症について、厚生労働省は「中東呼吸器症候群」と呼ぶことを決めるとともに、空港や港の検疫所でポスターを掲示するなどして注意を呼びかけています。 このウイルスは2003年に感染が拡大した新型肺炎「SARS」を引き起こしたコロナウイルスの一種の「MERS(マーズ)コロナウイルス」で、去年9月に初めて確認され、先月以降、サウジアラビアを中心に感染が拡大しています。 WHOによりますと、これまでに感染が確認されたのは中東やヨーロッパで合わせて44人に上り、このうち22人が死亡していますが、今のところ感染源や感染経路などは分かっていません。 厚生労働省は今月24日、この感染症を「中東呼吸器症候群」と呼ぶことを決めるとともに、国内でも感染が確認されるおそれがあるとして、空港や港の検疫所でポスターを掲示するなどして注意を呼びかけています
【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)欧州委員会は29日、加盟国の経済・財政状況に関する報告を発表し、フランスやスペインなど6カ国の財政赤字削減の目標達成期限について、先送りを認めるよう加盟国に勧告した。債務危機に伴う景気低迷の深刻化を受け、財政再建重視の路線を緩和し、経済成長や雇用回復に比重を移す方針だ。 EUは加盟国に、財政赤字を国内総生産(GDP)比3%未満に抑えることを義務付けている。だが、財政緊縮策が逆に景気を冷え込ませ、失業率の悪化を招き、財政再建を困難にする悪循環を招いているとされる。このため、財政規律を優先させてきた方針を大きく後退させざるを得なくなった。 勧告ではフランス、スペイン、スロベニアとポーランドの4カ国は2年間、オランダ、ポルトガルは1年間、財政赤字削減の期限を従来の目標時期よりも先送りするよう求めた。勧告は、加盟27カ国による来月の財務相理事会で承認を得る必
《阪急電鉄が運営する商業施設「グランフロント大阪 ショップ&レストラン」は、関西初や日本初を含めた店舗や飲食店を集め、消費向上や活性化への寄与が期待されている》 --グランフロント大阪の開発に携わった理由から 「鉄道会社は“いい街”を作ることが唯一の経営戦略であり、街とともにグループで成長する。大阪、神戸、宝塚などのターミナルは重要な位置付けで、梅田の街作りに参加しない、という選択肢はない」 《西日本最大級の紀伊國屋書店、スペインの人気ファストファッション「ザラ」系のインテリアなどが入店し、広場や並木道など、くつろぎの空間を備えている》 --商業施設の誘致を進める上で目指したことは 「ゆっくりと快適な時間を過ごしてもらうまちづくりだ。それを梅田全体に広げていきたい。グランフロントには紀伊國屋書店など文化情報を発信し、知的好奇心を刺激する店もある」 《真向かいにはJR西日本の専門店街「ルクア
スカイツリー超えた人気…「知の創造拠点」は空っぽの洞窟 経済部長・佐藤泰博 1カ月で760万人、グランフロント大阪は観光名所か 地盤沈下が叫ばれ続けてきた関西にとり、大きな転換点になるかもしれない。 4月26日、JR大阪駅北側にオープンした複合ビル群「グランフロント大阪」(大阪市北区)。開業1カ月の来場者が760万人に達し、昨年5月開業の東京スカイツリータウン(東京都墨田区)の581万人をも大幅に上回った。初年度の商業施設への来場者は2500万人を見込んでいたが、1カ月で3割を超えたことになり、瞬く間に大阪の観光名所に成長した。 2年連続で巨額の赤字に陥っているパナソニックやシャープ、33年ぶりに電気代値上げに追い込まれた関西電力…。関西を代表する企業の苦境が関西経済に影を落としているだけに、グランフロントへの期待は高まるばかりだ。 大阪駅北側にはもともと旧国鉄の貨物駅があり、昭和62(1
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