福岡県大牟田市役所で手話通訳を務める杉野有美子さん。通訳士の資格を得るまで14年間、さまざまな教材を使って勉強した 手話通訳の担い手が不足している。手話は日本語と文法が異なり、通訳には高い専門性が必要だが、社会には「ボランティアがやるもの」との意識が根強い。就労先が少ない上に報酬も低く、若手の参入が伸びずに人材は高齢化。9割が主婦を中心とした女性だ。聴覚障害者の社会進出とともに手話通訳の需要は増しており、地位向上と育成が求められる。 (梅本邦明) 【画像】手話通訳士の認定試験合格者数の推移 女性9割、若い世代の参入進まず 日本の手話通訳制度は1970年、国の「手話奉仕員養成事業」として開始。担い手として想定されたのは「聴覚障害者福祉に理解と熱意を有する主婦等」だった。2013年施行の障害者総合支援法により、市区町村は手話通訳を庁舎に配置したり、要請に応じて派遣したりするものとされた。厚生労