ニューヨークのミュージシャンたちはこう口を揃える。「ギターの不調は、アイツに相談すれば間違いない」。 「King of Guitar Repairs(キング・オブ・ギター・リペアーズ)」と評判の噂のギターリペアマンの名は、Farhad Soheili(ファルハード・ソヘイリ)。 ブルックリンの北端グリーンポイント地区にある彼の自宅兼作業スペースを訪ねてみると、この日も彼はエレクトリックギターと向き合っていた。「作業部屋」こと、糸のこや工具たちが雑多に並ぶ10畳ほどの部屋は、まるで図工室のよう。ここで、一週間に25本から多いときには40本ものギターの不調を直す。 「直せないギターはない」。SUB POP(サブ・ポップ。*米国のインディペンデント・レコード・レーベル)のキャップをかぶった彼は「キング」の名にふさわしい職人魂を持ったリペアマンである。 30歳、ミュージシャンの苦悩。 もともとは、