日本の大企業にはホワイトカラーの仕事を標準化しない、という信念、もしくは伝統がある。業務用パッケージの導入が不可能なくらいに、柔軟、場当たり的、独自のやり方で業務をこなすのが特徴であり、そのため生産現場に比べて圧倒的に生産性が低い。そういう組織において必要とされるのは、標準化された知識や機能スキルではなく、上司の癖や組織のあうんの呼吸をくみ上げてなんなりと対応してくれる、超がつくほどフレキシブルで非生産的な人材だ。なので、市場から「営業のプロ」とか「人事のプロ」とかを雇ってくるより、新卒から「なんでもやる社員」を育てた方が、ほよど“使い勝手の良い社員”に仕上がる。これが“日本的雇用”を大企業が好む最大の理由だと思う。