戦後、占領の中心となった横浜は「アメリカに最も近い街」だった。1948年、その街に伝説のジャズ喫茶が復活した。それは、横浜が日本の戦後のジャズの中心地となる始まりでもあった──。そんな、日本のジャズが最も「ヒップ」だった時代をディグする連載! 「芸能」の歴史は古代までさかのぼるが、私たちが知る「芸能界」が生まれたのは戦後になってからである。モダン・ジャズ同様、それは進駐軍クラブを母体に生まれ、戦後の経済発展とともに成長していった。モダン・ジャズ界と芸能界。その二つの業界は、出自を同じくする「二卵性双生児」のような関係にある。戦後の混沌の中から生まれたエンターテイメントの二つの潮流の成り立ちをあらためて整理する。 半世紀以上のときを経ての共演 渡辺貞夫が〈クレージーキャッツ〉の犬塚弘に「ぼくと一緒にやらないか?」と声をかけたのは2010年のことである。きっかけは、映画『ふたたび swing