町田康の荒唐無稽な時代小説を、クドカンがシナリオ化し、石井岳龍が監督する。製作者はアクの強いこの3人をよくぞ集めたものだ。そしてその3つの固有名詞が醸す期待からまったく外すことはない。主人公のパンク侍、掛十之進には、『シャニダールの花』『ソレダケ / that’s it』に次いでこれが石井岳龍作品3度目の起用となる綾野剛だが、このカメレオン俳優は『そこのみにて光輝く』のようなリアリズムであれ、今回のようにパンク侍であれ、なんでも大丈夫だ。舞台となる田舎の弱小藩の街道筋に綾野剛がふざけたコスチュームで現れて、物乞いの男を極悪新興宗教の一味と決めつけ、いきなり人殺しする。この冒頭だけでこの映画世界がどれだけねじ曲がっているのかを、誰でも理解できることだろう。物乞いの出血がそこまで天高く噴き出さなくてもと思うが、景気のいい血糊の飛沫は、虹でも発生しそうなほどだ。 しかしながら、この映画の荒唐無稽
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