思想家の東浩紀氏がアイヌ民族が日本の先住民族であるかと聞かれて、瀬川拓郎氏の「アイヌ学入門」を文献としてあげつつ事態はそんなに単純では無いと否定した*1事に関して、なぜか厳しく批判されていた*2。皆さん、行間を読む前に行を読もう。そして、紹介された文献を読んでみよう。その上で世界の先住民族とアイヌの違いを考えると、アイヌを単純に先住民族と形容したく無いのも理解できるはずだ。 まずは細部だが、「アイヌは北海道の先住民族であるか?」とは聞かれていない。戦前はアイヌ人=縄文人=本州を含む日本の先住民族と言う説があったのだが、それは否定されている。だから、質問は肯定できない。そして、日本を北海道に変えたとしても、先住民族と言う言葉の響きは、アイヌ人と倭人の関係を誤解させるかも知れない。 アイヌ人と倭人の関係は、人種的に共通の前身を持つ長い相互交流のある二つの文化圏の関係であって、ルーツが大きく異な