15世紀中頃から、対馬や博多では、組織的に架空の名義やニセモノの通交使節を仕立てて、朝鮮王朝に送り込んでいた。とりわけ、1510年の三浦の乱で日朝通交関係が一時断絶したあと、通交貿易関係を回復するために多くの偽使(ぎし)が作り出されたことが分かっている。その物的証拠ともいうべき歴史資料が、この“重要文化財 対馬宗家旧蔵「図書」と木印”である。いずれも、書契(しょけい)と呼ばれる日朝間の外交文書に捺印されるもので、おおむね、名義人の名前(実名、諱(いみな))が彫られている。展示品のほぼすべてが、16世紀後半に作られ、使用されたものである。 銅製の「図書」は、朝鮮側から賜与された本物のハンコ(銅印)であるが、刻まれた名義は架空の人物が多い。一方、木製の偽造印は、本物の「図書」(銅印)をまねて作ったニセモノのハンコである。同じ「ニセモノ」といっても、まったく意味が違うので注意が必要だ。 わけても
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