「みちのく怪談」などというものに関わっている都合上、ローカル怪談を耳にすることが比較的多いぼくですが、最近、沖縄のグラフ誌「オキナワグラフ」の怪談特集で、「逆立ち幽霊」というお話を知りまして。 昔、嘉平川という男が絶世の美女チルーを妻にしました。 しかし、嘉平川は妻があまりに美しいため、他の男に取られるのではないかと思い悩み、やがて病の床に伏してしまいます。 ついに危篤となった嘉平川は、「私が死んだらお前は他の男と再婚するのだろう、それが心残りだ」と訴えます。 それを聞いたチルーは、包丁で自分の鼻をそぎ落とし、夫に操を立てる覚悟を示しました。 すると心労のなくなった嘉平川はみるみる快復し、醜くなった妻を捨てて、愛人のもとへ出奔します。 捨てられたチルーは病床に伏し、誰も看取る者のないまま寂しく亡くなりました。 やがて、嘉平川の前にチルーの亡霊が出るようになります。 つきまとう怨霊に悩まされ