人間―この象徴を操るもの 作者: E.カッシーラー,宮城音弥出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1982/03メディア: 単行本この商品を含むブログを見る この本を書いたカッシーラーという人は、ドイツのユダヤ系の哲学者だったが、ナチスが政権をとった時に海外に逃れたようで、最後は1945年にアメリカで没している。この本は、その八か月前に出版された。 カッシーラーは、人間社会や文化にとっての象徴(シンボル)というものの重要性を唱えた人として知られている。 この本の初めの部分でも、西洋思想史における「人間とは何か」という問いの変容と、その危機のあり様とが概観された後、人間とは、物質的な現実の世界を生きる以上に、象徴の世界に生きている存在であるということについて、次のように書かれている。 ここにおいても、人間は固い事実の世界に生活しているのではなく、彼の直接的な必要および願望によって生きているの