安倍晋三前総理が『文芸春秋』2月号に独占手記「わが告白 総理辞任の真相」を寄せている。安倍氏は、辞任の原因が潰瘍(かいよう)性大腸炎という難病にあったことを説明するとともに、内外政問題について、現職総理としては、真意を明らかにすることができなかった問題について、この手記を通じて国民に対する説明責任を果たそうとしている。この手記から、安倍氏の誠実な人柄が伝わってくる。 筆者が理解する保守とは、国民の感情に訴えるポピュリズムの手法を取らず、日本国家と日本国民が生き残っていくために必要な政策を政治エリートが責任をもって採択していく政治手法である。安倍氏は小泉氏のポピュリズム的手法から意識的に決別しようとしたことが手記の以下の部分から、浮かび上がる。 〈安倍政権においては、戦後レジームからの脱却を訴え、憲法改正に向けての国民投票法案成立、教育基本法の改正、防衛庁の省昇格などを次々と成し遂げるこ