並木道を抜けた先に現れた人家の前で車を止めると、どこかからエンジン音が聞こえてくる。目をやると、赤と黄色のカラフルなバギーのような乗り物が数匹の大きな犬を連れてこちらに向かってくる。軽快にハンドルをさばいて人家の脇に車体を着けて、運転席から降り立った男性は、タイ式の挨拶である合掌と笑顔で記者を迎えてくれた。 2.88ヘクタールの土地で果樹園を営むキティパットさん(51)を訪ねたのは、首都バンコクから南東へ車で3時間半、カンボジアと国境を接するチャンタブリー県だ。フルーツの名産地としてタイ国内で広く知られるチャンタブリー県だが、近年は特にドリアン栽培で盛り上がりを見せている。 日系企業に勤め、千葉県で暮らしたこともあるというキティパットさんは、脱サラして妻方の故郷で果樹園を始めて12年目になるそうだが、ドリアンの価格上昇は目覚ましいという。「果樹園を始めた頃は1キロ18バーツ(約81円)で取