「勝負は時の運」という言葉がある。 努力も実力も、時にすべてが無になってしまう。逆に、常に自分に引きつけておくことができれば、こんなに頼りになる味方はない。甘美な響きはあるが、抽象的で実体がない。世界中で多くの人が天を仰ぎ、自分の上に降り注ぐのを祈っているが、具体的に手に入れる方法は誰も知らない。 それが運だ。 本書は、「運」を身近に感じ生きてきた勝負師の観点からどうすれば運をつかむことができるかを説いた一冊だ。著者は、雀鬼と呼ばれ、「麻雀の裏プロとして20年間無敗」を称する桜井章一氏。 裏プロゆえ、公式記録は残っていないだろうが、「20年間無敗」なら、運を味方に付けることにおいてはエキスパートだ。日頃、自分の不運に嘆いている諸氏には気になる内容だろう。 悪運の連鎖を断つには? 運というと、呪術やまじない、オカルトとさほど違わない印象がある。評者もマユツバで読んだクチだ。しかし、本書からは