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ブックマーク / www.isas.jaxa.jp (21)

  • ISAS | 第3回:イオンエンジン・化学推進の改良点 / 再び宇宙大航海へ臨む「はやぶさ2」

    今回はイオンエンジンと化学推進について紹介します。イオンエンジンは、地球と小惑星との往復航行を、化学推進の10分の1という少ない推進剤消費で可能にします。化学推進は、イオンエンジンの1000倍以上の推力を発生させることができ、打上げ直後の姿勢制御や軌道の微調整、小惑星周辺での探査機位置制御や小惑星表面への離着陸時などに使用されます。このように性質が異なる二つの推進系が役割分担して「はやぶさ2」の原動力となるわけです。 「はやぶさ2」搭載のイオンエンジンは、「はやぶさ」当時の設計を基的に踏襲しています。「はやぶさ」では2つの大きなエンジントラブルが生じました。一つは初期に発生したイオン源1基のプラズマ点火不良であり、もう一つは1万時間から1万5000時間の運転後に発生した中和器3基の劣化や故障です。「はやぶさ2」では、これらの不具合の原因を推定した上で対策を講じました。前者に対しては、イオ

  • ISAS | 第87回:「はやぶさ2」で小惑星に穴を掘る / 宇宙・夢・人

    さいき・たかなお。1976年、広島県生まれ。東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了。2005年、JAXA深宇宙探査センター 宇宙航空プロジェクト 研究員。三菱重工業(株)名古屋誘導推進システム製作所を経て、2009年7月より現職。専門は宇宙航空力学、宇宙システム工学。 大きく違うところは、まさに私が担当している衝突装置です。2kgほどの銅の弾丸を小惑星に撃ち込んで穴を掘り、クレーターをつくります。そのクレーターを観察したり、可能であれば、そこから試料を採ってくるという野心的な計画を進めています。銅の弾丸は大量の爆薬を使って一気に秒速2kmに加速します。その爆薬は探査機自体を粉々にする威力があります。ですから、まず小惑星の上空で衝突装置を分離し、探査機を安全な場所に避難させます。そして爆薬を爆発させて銅の弾丸を小惑星に衝突させるというアクロバティックな運用を行います。精度よく

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    t_thor 2012/02/21
  • ISAS | 金星探査機「あかつき」の軌道制御用エンジンの第2回テスト噴射の実施について / トピックス

    金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の軌道制御用エンジン(OME)の第2回テスト噴射(注1)を9月14日に実施し、取得したデータの解析を進めていたところ、噴射による加速度が、9月7日の第1回テスト噴射時と同様に想定よりも小さな値を示していることが分かりました。 今後の対応については、これまでの2回の試験噴射のデータをふまえて検討していきます。 なお、第2回テスト噴射後の衛星の状態は正常です。 注1:OME噴射状況の再確認等を目的とし、噴射時間は約5秒であった(計画通り)。

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    t_thor 2011/09/16
  • ISAS | 金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の軌道制御用エンジン(OME)の第2回テスト噴射計画の変更について / トピックス

    TOP > トピックス > トピックス > 2011年 > 金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の軌道制御用エンジン(OME)の第2回テスト噴射計画の変更について 金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の今後の金星再会合に向けた軌道変更計画検討の一環として、軌道制御用エンジン(OME)の第1回テスト噴射(注1)を9月7日に実施し、取得したデータの解析を進めていたところ、噴射による加速度が想定よりも小さな値を示していることが分かりました。これは、第2回テスト噴射(注2)の前提として当初予測していた状況と異なるため、9月14日に計画している第2回テスト噴射の計画を変更し、OMEの噴射状況を再確認することを目的として、約5秒間噴射することといたします。 なお、第1回テスト噴射後の衛星の状態は正常です。 注1:姿勢外乱(横推力等)の定量的把握を目的とし、噴射時間は約2秒であった(計画通り

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    t_thor 2011/09/10
  • ISAS | イトカワの砂 / 宇宙科学の最前線

    はじめに 2010年6月に小惑星探査機「はやぶさ」が帰還しました。11月になって持ち帰った岩石質の微粒子が小惑星イトカワ由来と分かり、大変に注目され、また意気も上がりました。これはサンプルキャッチャーと呼ばれる帰還したサンプル容器の内側を特殊なヘラで触って集めた約3300個のうち、人工物(主としてアルミ片)を除いた約1500個の岩石質極微小粒子(大部分が10μm[マイクロメートル、1μm=1mmの1000分の1]以下)の組成を調べて分かったことです(図1におおよその鉱物組成比を示す)。ヘラで集めたものは、1粒が1ng(ナノグラム、1ng=1gの10億分の1)以下と非常に小さな粒子なので、統計的な特徴を調べるには適していても、それぞれについて詳細に調べるには小さ過ぎるきらいがあります。そのため、マニピュレータという特殊な装置を使ってもう少し大きな粒子(数十μm)をサンプルキャッチャーから回収

  • ISAS | 「はやぶさ」プロジェクトチームがフォン・ブラウン賞を受賞 / トピックス

    5月20日、アラバマ州ハンツビルにて開催された、第30回国際宇宙開発会議(International Space Development Conferece)にて、「はやぶさ」プロジェクトチームが、ナショナル・スペース・ソサエティ(National Space Society) から、フォン・ブラウン賞(Von Braun Award)を受賞しました。 受賞理由は、「初の太陽周回天体表面への往復と試料の帰還」(FIRST ROUND TRIP TO AND SAMPLE RETURN TO EARTH FROM THE SURFACE OF AN OBJECT IN SOLAR ORBIT)に成功したことです。 フォン・ブラウン博士は、旧ドイツから米国にわたり、アポロ計画を実現させた人物としてよく知られています。1971年に来日し、わが国初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げてまもなくの、鹿児

  • ISAS | イプシロンロケット事業の促進について / トピックス

    宇宙航空研究開発機構は1月12日、イプシロンロケット事業の促進について以下の発表を行いました。 イプシロンロケットについては、2010年8月宇宙開発委員会の事前評価や2011年度予算見通しなどを踏まえ、2013年度の試験機の打上げに向けて開発を進めておりますが、打上げ射場を内之浦として設備整備等の必要な作業を進めていくことといたしました。 当機構は、今後も引き続きイプシロンロケットの開発と試験機の打上げに向けて事業を確実に進めていく所存です。

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    t_thor 2011/01/12
  • ISAS | 「あかつき」の機能確認作業において金星を撮影! / トピックス

    JAXAは、現在、金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入失敗の原因究明を行っておりますが、金星最接近後の探査機データ取得後に行った探査機の機能確認作業において、12月9日9時ごろ(日標準時)に金星画像を取得できたのでお知らせします。 2010年12月9日、中間赤外カメラ(LIR)、紫外線イメージャ(UVI)、1μmカメラ(IR1)の3台を立ち上げ、金星を撮影しました。撮影時刻は午前9時頃(日時間)で、このとき「あかつき」と金星の距離は約60万km*でした。「あかつき」から見た金星の視直径は約1.2度**で、金星を夜の方向から見ています。 *:地球と月の平均距離は約38万km **:地球から見た月の視直径は約0.5度

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    t_thor 2010/12/10
  • ISAS | はやぶさカプセル内の微粒子の起源の判明について / トピックス

    宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「はやぶさ」搭載の帰還カプセルにより持ち帰られた、サンプル収納容器(※)からの微粒子の採集とカタログ化を進めています。 サンプルキャッチャーA室から特殊形状のヘラで採集された微粒子をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察および分析の上、1,500個程度の微粒子を岩石質と同定いたしました。更に、その分析結果を検討したところ、そのほぼ全てが地球外物質であり、小惑星イトカワ由来であると判断するに至りました。 採集された微粒子のほとんどは、サイズが10ミクロン以下の極微粒子であるため取扱技術について特別なスキルと技術が必要な状況です。JAXAは、初期分析(より詳細な分析)のために必要な取扱技術と関連装置の準備を進めています。 (※)サンプル収納容器内部は、サンプルキャッチャーA室及びB室と呼ばれる2つの部屋に分かれています。 はやぶさカプセル内の微粒子の起源の判明に

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    t_thor 2010/11/16
  • ISAS | 「はやぶさ」イオンエンジンチーム、AIAA技術賞受賞 / トピックス

    米国航空宇宙学会(AIAA)から、電気推進を駆使して宇宙往復ミッションを達成した事を評して、「はやぶさ」イオンエンジンチームに対して2010 Electric Propulsion Outstanding Technical Achievement Awardが授与されました。7月26日、米国ナッシュビルにて開催されたJoint Propulsion Conferenceの電気推進技術委員会の席上にていただいてまいりました。 電気推進の第一の応用範囲は「静止衛星の南北制御」ですが、宇宙科学に関わる分野ではなく、貢献の機会はありませんでした。次なる応用場面は「深宇宙探査」であり、ここに独自のイオンエンジンで先鞭を着けることができ、正直にうれしい気持ちです。第三の方向へも緒を見出すべく努力していきたいものです。 國中均(月惑星探査プログラムグループ・教授)

    t_thor
    t_thor 2010/07/29
  • ISAS | バックナンバー / ISASメールマガジン

    ★★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ISASメールマガジン   第302号       【 発行日- 10.07.06 】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★こんにちは、山です。 今週は、宇宙探査工学研究系の宇宙の電池屋・曽根理嗣(そね・よしつぐ)さんです。 「はやぶさ、地球へ!」特設サイトの関係者からのメッセージで、「宇宙の電池屋 ~方探班の一隊員として~」と題して、3回の寄稿をしていますが、その最後としてISASメールマガジンに書いていただきました。 ── INDEX────────────────────────────── ★01:宇宙の電池屋 ~方探班の一隊員として(完)~ ☆02:月周回衛星「かぐや(SELENE)」が明らかにした月内部からのカンラン石の全球表面分布とその起源 ☆03:小型科学衛星「れ

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    t_thor 2010/07/14
  • ISAS | ラスト・チャンスの地球撮像 / トピックス

    姿勢系 橋 樹明 私は姿勢軌道制御系の担当(*1)ですが、「はやぶさ」ではカメラを使って探査機の位置を決めることが重要であったので、航法カメラの開発も担当することになりました。カメラのハードウェアにはあまり詳しくありませんが、 「のぞみ」搭載カメラMICを担当していたことや、趣味が鉄道写真の撮影なので、撮像運用に関してはある程度経験は持っておりました。 ONCは、イトカワ離脱後は役目を終えたので、その後のトラブルに際して保温は断念しました。4年半、低温で放置されていたので、今回、正常に動作する保証はありませんでした。また、もし電源をオンした時にショートして探査機システムに影響を与えてはいけないので、回収カプセルを分離した後に初めて電源を入れる、という約束になっていました。すなわち、練習なしのぶっつけ番です。さらに、4年半ぶりの運用と言うことで、コマンド手順や地上のデータ処理システムの使

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    t_thor 2010/06/18
  • ISAS | 「はやぶさ」大気圏突入/カプセルも発見 / トピックス

    時間6月13日19時51分に「はやぶさ」は無事カプセルを分離し、日時間6月13日22時51分頃には大気圏に突入しました。 2003年5月9日にM-Vロケットで打ち上げられてから約7年間、イトカワに着陸し、サンプル採取作業を行い、再び地球に帰還するという難事業を、幾多の困難を乗り越え成し遂げることができました。 また大気圏に再突入した「はやぶさ」カプセルについて、ヘリコプターにより捜索した結果、日時間6月13日23時56分にWPA内の予定区域内においてカプセル体を目視により発見しました。 なお、カプセルの回収作業は、日時間6月14日午後に行う予定です。 これまで応援していただいた皆様に感謝いたします。 ※WPA : Woomera Prohibited Area (ウーメラ実験場(立入禁止区域))

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    t_thor 2010/06/14
  • ISAS すばる望遠鏡で「はやぶさ」の撮影成功! - トピックス

    地球に戻って来つつある「はやぶさ」を、ハワイにあるすばる望遠鏡が撮影することに成功しました。画像は簡易解析によって処理されたもので、縦方向に移動している点が「はやぶさ」です。 画像に関する情報は次のようになります。 観測装置:主焦点カメラ 画角  : 1.72'×4.04' 撮影時刻:2010年6月13日 14:59~15:06(日時間) 露出時間は5秒で露出間隔は35~50秒 はやぶさの等級:約21等 撮影方向:かに座 「はやぶさ」は予測された時刻・方向に撮影されていますので、予定通りに地球に向かっていることになります。なお、撮影されたときの地球-はやぶさの距離は、およそ17万kmです。 「はやぶさ」の撮影を行っていただきました国立天文台の八木雅文氏、小宮山裕氏、 仲田史明氏、篠木新吾氏、 Alan Hatakeyama氏, Daniel Birchall氏およびすばる望遠鏡のスタッフ

  • Hayabusa Live » 「はやぶさ」の総航行距離?

    「はやぶさ」のこれまでの総航行距離はどのくらいか?というご質問をよく頂きます。ちょっと長めの文章になってしまいますが、以下でご説明いたします。 まず最初に、実は、この航行距離というのはあまり意味がないのです。多分、探査機を、地上を走る車のようにイメージしてその“走行距離”というものを気にされているのだと思います。地上を走る車でしたら、この走行距離というものが意味がありますが、宇宙空間を航行する探査機にとってはあまり意味がありません。それは、いったん、地球の引力を振り切って宇宙空間に放出されれば、何もしなくても太陽の周りを回ることになるからです。例えば、探査機を打ち上げるのに使われたロケットの上段が、地球引力を振り切って飛び出していった場合、何も制御はされないわけですが時間が経てば経つほど、航行距離は伸びていくわけです。(地上を走る車の場合、何もしないと止まってしまいますから、走行距離は伸び

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    t_thor 2010/06/04
  • ISAS | 「はやぶさ」が、故郷、地球をとらえた! / トピックス

    「はやぶさ」は、先週 5月12日に、搭載の星姿勢計(STar Tracker: STT)のCCDセンサを用いて、故郷である地球と月の撮影を行いました。 地球はまばゆいばかりに明るく、画像は強いスミアの影響を受けましたが、月もくっきりと写っています。(地球 -8.3等、月 -4.6等) 地球は、現在いて座とやぎ座の間に見えています。 「はやぶさ」は、一路地球を目指して、時速およそ18000kmで航行中です。

  • ISAS | 「はやぶさ」TCM-1、地球リム部への誘導完了について / トピックス

    2010年5月4日11時57分(日時間)、TCM-1が正常に終了されたことを確認しました。 この運用により、豪州上空を通過する時刻を調整しました。なお、5月4日現在の「はやぶさ」と地球との距離は約1660万kmで、探査機のの状態は良好です。

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    t_thor 2010/05/06
  • ISAS | 「はやぶさ」カプセル再突入予定時刻を公表 / トピックス

    宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)は、2010年6月に予定している「はやぶさ」搭載カプセルの地球帰還に関し、4月16日(金)に着陸想定地を管轄する豪州政府から着陸許可を得ましたのでご報告いたします。 なお、カプセルの再突入の日時は、現在の計算によると、2010年6月13日、日時間23時頃(協定世界時14時頃)、着陸場所は豪州ウーメラ立入制限区域の予定です。 引き続き、「はやぶさ」の地球帰還、カプセルの再突入へ向けて慎重な運用を続けるとともに、適時運用状況についてお知らせいたします。 ※協定世界時(UTC):全世界で時刻を記録する際に使われる公式な時刻

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    t_thor 2010/04/21
  • ISAS | 第15回:日本初の無人宇宙船 宇宙ステーション補給機(HTV) / きぼうの科学

    宇宙ステーション補給機(HTV)は、国際宇宙ステーション(ISS)へ宇宙飛行士の糧、衣料や実験機器およびメンテナンス機器などの補給物資を運ぶ、日が開発した大型無人宇宙船です。技術実証を目的とした初号機(技術実証機)は2009年9月11日、種子島宇宙センターからH-IIBロケットによって打ち上げられ、9月18日に当初の計画通りの時刻に、ISSへの最終接近およびドッキングに成功しました。日実験棟「きぼう」の完成、H-IIBロケットの打上げに続く、このHTV初号機のほぼ完ぺきな運用は、国際的に日の宇宙開発の技術力の評価を高める結果となり、2009年はHTVのみならず日の宇宙開発にとって大変意義深い年となりました。 HTVの最大の特徴は、日が独自開発したランデブー飛行技術によりISSへ接近し、ロボットアームを用いてISSへドッキングすることです。NASAにも実績がない無人機による有人施

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    t_thor 2010/02/23
  • ISAS | 「はやぶさ」地球引力圏軌道へ!地球まであとわずか / トピックス

    「はやぶさ」は、先週からまた一歩地球に接近する軌道へと移りました。最接近距離は、約140万kmです。面外からの接近状況も計画通りに推移しています。 地球の引力圏を通過する軌道へのったということは、「はやぶさ」が地球への往復飛行に一応の区切りをつけたこと、帰還できたことを示しています。 今後は、月軌道半径を通過する軌道へと移行し、また、地球大気への再突入、そして地上でのカプセル回収と、一歩一歩進めていく計画です。 地球まで約6000万km。イオンエンジンによる航行もあと2ヶ月となりました。 「はやぶさ」プロジェクトマネージャ 川口 淳一郎

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    t_thor 2010/01/14