小説家・阿部和重のオフィシャルサイト。Interview 2013/5/24 『□』で挑んだ創作における自由とは? 阿部和重 『□』刊行記念インタビュー 「なにも決めずに書く」という試み ―― このたびは最新刊『□』(シカク)の刊行、おめでとうございます。 阿部和重(以下、阿部) ありがとうございます。 ―― 本作は阿部さんにとって初めての連作短編であり、ホラーサスペンスとも呼べる内容になっています。それ以外の部分でも、これまでの作品とは違った書き方にチャレンジされたそうですね。 阿部 今作に限らず、僕はいつも作品単位で自分なりの課題を設定して、それを乗り越えつつ書いていく、という作業をくり返してきました。作品の主題とは別に、ひとりの作家として自分が乗り越えるべきハードル、主には技術的なところでの課題です。 それで今回、『□』という連作短編で設定したのは「なにも決めずに書く」という課題で