「マイナンバーカードと銀行口座が既に結び付いていれば、これはかなりスピード感を持って対応することができたのだろうと、こう思います」――。安倍晋三首相は2020年5月25日、緊急事態宣言を全面解除した記者会見で、国内に住む住民1人当たりに一律10万円を給付する「定額特別給付金」の遅れについてこう見解を示した。 首相見解を受け、政府・与党は金融機関の口座にマイナンバーをひも付ける法案を相次いで提出する。しかし実務に詳しい自治体関係者は、口座にマイナンバーをひも付けたところですぐに給付の迅速化にはつながらないと指摘する。 2段階でひも付け 政府・与党は2段階で法整備を進める考えだ。1段階目として与党は2020年6月8日に議員立法で、国が希望者の申請に基づいてマイナンバーと金融機関の口座をひも付けた「給付名簿」を作成する法案を国会に提出した。 具体的には、政府が運営するマイナンバー制度の個人向けW