チュニジア、エジプトなど中東・北アフリカ諸国で広がり続ける民主化要求デモ。湾岸地域のイエメンでも、政権側とデモ隊との激しい衝突が続いているが、この国にはほかでは見られない特徴がひとつある。米国の作戦で殺害されたビンラーディン容疑者との関わりが指摘される、もう一つの「アルカーイダ」が頭をもたげているのだ。 「アラビア半島のアルカーイダ(AQAP)」 イエメンを拠点とするこの組織は4月26日、南部アビヤンの政府庁舎2棟を占拠したのに続いて27日には国軍にロケット弾を撃ち込み兵士2人を殺害。3月にアビヤンの武器庫を襲撃し弾薬などを略奪した際には、武器庫の爆発を引き起こし、周辺住民ら150人以上が死亡している。 「デモで政権が不安定化する中、AQAPにとっては活動しやすい環境が生まれている」。エジプト政府系シンクタンクの中東専門家ハーニー・ラスラン氏はこう指摘する。 AQAPは2009年、イエメン