ジャーナリストで評論家の立花隆さんが、4月30日、80歳で亡くなりました。立花さんは東京大学などで教鞭を執り、多くのお教え子を各界に送り出す“先生”でもありました。『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』等の著作で知られる、サイエンスジャーナリストの緑慎也さんも、教え子の一人です。 1996年に立花さんの講義を受講して以来、在学中はゼミ生として、その後は個人スタッフとして、“書生的な関係”で立花さんと接し続けてきた緑さんが振り返る、「知の巨人」の“意外な素顔”とは――。緑さんによる追悼原稿を掲載します。 ◆ ◆ ◆ 「ハムカツが80円だって」 麹町の旧日テレの近くにあるカレー屋に行った時のこと、立花さんがメニューを見て、不機嫌な表情を浮かべた。注文を取りに来た店員に「なんでこんなに高いの?」と食ってかかった。 紀尾井町の文藝春秋からも近く、筆者はその店に行くのは初めてだったが