▲ビネガーシンドロームを発症したネガ。強い酢酸臭を伴ってワカメ状に湾曲し、乳剤面の膨潤も見られるが、この段階であればまだまだ充分にプリントやスキャニングが可能。 昨年末に発売した広田尚敬さんの写真集『昭和三十四年二月 北海道』はおかげさまでたいへんな好評をいただいていますが、編集作業中にショックな出来事がありました。6?7年前にお預かりした際はとりたてて異常のなかった該当ネガが、今回あらためてお借りすると、例の“ビネガーシンドローム”に冒されつつあるのです。 モノクロネガフィルムの加水分解による劣化、いわゆる“ビネガーシンドローム”についてはこれまでにも何回かお伝えしてまいりましたが(アーカイブ「“ビネガーシンドローム”警報発令中!」参照)、『国鉄時代』をはじめ、日々、皆さんから歴史的ネガをお預かりしている編集現場としては、ここ数年で“発症”する事例が急増しているというのが実感です。あらた