(第37号、通巻57号) 前々回の「立ち上げる」(9月5日号)は、予想外に反響が大きかったが、意を尽くせなかった部分もある。逆に筆が滑った個所もある。その後の知見も加え「続編」として二、三補足したい。 「立ち上がる」は昔からある言葉だ。この語に、「機械類が起動する」「機械に電源が入る」という意味が加わったのはそう古いことではあるまい。文法的に言えば、「起立する」「身を起こす」という伝統的な意味で使う場合と同じく自動詞(5段活用)である。「救援活動に立ち上がる」という用法になると、他動詞的な感じが少し加わるが、それでもあくまで自動詞であることに変わりはない。 国語学者の金田一春彦氏によれば、他動詞として使いたい時は「立ち上がらせる」というように言った、という。たとえば「母親が子供の手を取って、立ち上がらせた」というように使ったのである、と用例を示している《注1》。 この用法から「立ち上げる」