ブックマーク / satoshi.blogs.com (150)

  • 10万部を超えるベストセラー書籍はどうやって生み出せば良いのか

    先週、編集者の方から「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか?」のさらなる増刷が決まり、ついに目標だった10万部を超えたという知らせを受けました(ちなみに、これは紙の書籍の数字で、Kindle などの電子書籍の読者数は含まれていません)。 私は、このの前にも「エンジニアとしての生き方」「おもてなしの経済学」などの書物を幾つか書いてきましたが、労力の割には売れる数が少ないので(5000千部から1万部)、「もう書物は書かない」と一度は心に決めていました。 しかし、去年の末に「編集エージェント」という出版社から独立した形で書籍の企画・編集をしている方から声をかけられ、「必ずベストセラーにしてみせる」と説得されて書いたのが「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか?」なのです。 最初は「彼に会うこと自体が時間の無駄かも知れない」と思っていたのですが、彼のロジックにとても説得力があったです。 そのロジックと

  • 発行部数の激減する新聞・雑誌。本当になくなってしまって良いのか?

    ジャンプ、マガジン、サンデーに代表される週刊漫画雑誌の売り上げが激減しています。 20年前には650万部を売り上げた週刊少年ジャンプ すら、毎年のように10%を超える売り上げ減に見舞われ、今や200万部を切ろうとしています(データソース:日雑誌協会)。 新聞社も週刊誌も売り上げの激減に悩まされています。特に、駅売りに頼っていたスポーツ新聞ビジネスは、どこも破綻状態で、数年後には、「スポーツ新聞」というジャンルそのものがなくなってしまうと言われています。 理由は明確です。人々のライフスタイルが大きく変わったからです。 20年前、通勤・通学する人々の多くは、漫画・雑誌・スポーツ紙を読んでいました。駅のホームには必ずキオスクがあり、そこで雑誌や新聞を売っていました。朝、通学途中に読んだ漫画友達と回し読み、それがごく普通の高校生・大学生の姿でした。 今はそんな人たちはほとんど見かけません。誰も

  • 「締め切りは絶対に守るもの」と考えると世界が変わる

    2011年にインプレスジャパンから「エンジニアとしての生き方」というを出版して以来、書籍よりは「メルマガ(週刊 Life is Beautiful)」の執筆を優先して来た私ですが、この度、とある編集者に説得されて「時間術」のを出版することになりました。 『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』(文響社) 「時間術」とは言っても、巷に良くある「どうやって時間を効率よく使うか」という話ではなく、実際の仕事の現場において「常に締め切り通りに仕事を終える人」になるための、私なりの「仕事に対する取り組み方」を解説した仕事術のです。 「いつも締め切りに追われている」「締め切り間際にならないと気で仕事ができない」という悩みを抱える人たちには是非とも読んでいただきたいです。締め切りを守れるかどうかは、締め切り間際のラストスパートで決まるのではなく、もっと前の段階での、「

  • 2016年、Virtual Reality はキャズムを超える

    この業界で働いていると、新しい技術がでてくるたびに「今年は〜〜元年だ」という言葉を見ます。スマフォ元年、IPTV元年、VR元年、自動運転車元年、などです。 新しい技術を使った商品やサービスが初めて市場に導入された年を指す言葉ですが、導入されたばかりの技術が、市場や私たちのライフスタイルに大きなインパクトを持つことはほぼありません。 ほとんどの場合、初期に投入された製品やサービスは、値段が高い、使い勝手が悪い、価値が理解されないなどの理由で、ごく一部のアーリーアダプターと呼ばれる人たちだけに使われる、ニッチな成功しか収められないのが普通です。 アーリーアダプターにしか受け入れられなかったものが、一般の人にまで普及するまでの間の「生みの苦しみ」の期間のことを「キャズム」と呼びますが、数多くの商品やサービスがキャズムを超えられずに消えてしまうし、多くの場合「キャズム越え」をするのは一番手ではなく

  • 米国で思いっきり働いてみたいソフトウェア・エンジニア大募集

    私が2000年に米国シアトルで設立した UIEvolution Inc. は、日米にソフトウェア・エンジニアを抱えてビジネスをする会社だが、これを利用して、これまでも数人の日エンジニアに米国で働く機会を与えて来た。 今回、北米市場でのビジネスが急激に伸びていることもあり、シアトルオフィスでエンジニアを募集しているのだが、せっかくの機会なので、これを利用して「米国で働ける」ことをインセンティブに日の優秀なエンジニアを若干名募集することにした。 応募要領は、「WANTEDLYアメリカに渡って次世代スマートカーサービスを開発したいエンジニア!」に書いてあるが、ざっくりといえば、 採用は日で行う (希望に応じて)シアトルオフィスで働くことができる(ビザは会社が取得する) 英語は話せた方が良いが、エンジニアとして優秀であればなんとかなる である。 こんな機会は滅多にないので、ぜひとも優秀

  • UIEvolution、800万ドルを調達

    私が2000年に起業し、2004年にスクエニによる買収、2007年にMBOによってスピンアウトという変遷をたどって来た UIEvolution が新たに8百万ドル(約8億円)を調達したので、報告しておく(詳しくは「UIEvolution scores $8M to more safely connect drivers to mobile apps」を参照)。 ベンチャー企業にとって、成長し続けることは宿命とも言えるが、積極的な投資をするにはこんな形で外部から資金を集める必要がある。 UIEvolution の場合、通常の業務で稼いでいるお金だけで会社を回すことも十分可能なところまで成長したが、成長分野に向けて開発投資をするタイミングとしては、今が一番良いと判断したのだ。 成長分野と見なして開発に力を入れるのは、自動車向けのソフトウェア(カーナビ・ダッシュボードなどの車載機向けソフトウェア

  • ウェブデザインとスーパーのチラシの共通点

    Facebookのタイムラインに「日のウェブデザインはなぜこんなにも世界と違うのか?」という記事の紹介が流れて来たので読んでみたが、これはウェブデザインに限った話ではないと思う。典型的なのがスーパーのチラシ(下の写真はここからの引用)。 日のスーパーのチラシは、「これでもか」とばかりに情報を詰め込む上に、「安売り情報=赤」という王道を決して踏み外すことはないため、どのスーパーのチラシもこんなデザインになる。情報量だけはすごいが、「エレガントなデザイン」とは正反対のところにある。 米国でも、一昔前までは似た様な状況だったが、ここ数年は差別化が進み、少しこだわったスーパーのチラシのデザインはこんな感じだ。 明らかにプロのデザイナーの手が入っているし、「欲をそそる」という明確なデザイン・ゴールが見てとれる。 どちらが正しいという話ではないが、米国の一部のスーパーがこんなデザインに走っている

    ウェブデザインとスーパーのチラシの共通点
  • UIEvolution 新オフィスとトークイベントのお知らせ

    私が2000年に米国シアトルで起業した UIEvolution は、 2000年:創業 2000/2003年:VCからの資金調達 2004年:スクエニによる買収 という典型的な「アーリー・エグジット」で、一旦はスクエニの100%子会社になりました。 しかし、2007年にMBO(Management Buy Out)で再び独立し(この時点でスクエニとの資関係は完全に切れました)、現在はシアトル・ハワイ・東京にオフィスを持つ会社として、自動車、豪華客船、テーマパークなどのリアルな世界とネットをスマートフォンやIPTVなどを通して繋ぎ、一つ上の「おもてなし(User Experience)」の提供を可能にするテクノロジーの会社として、業界でもユニークな存在として活躍しています。 特に、優秀なソフトウェア・エンジニアの才能が(未だにゼネコン体質から抜け出せない)日の大企業で飼い殺しにされてしま

  • プレゼンテーション・ツールとしての Blender

    メルマガの読者はご存知だが、私は今年の「夏の課題」として3Dモデリング・ツール Blender の習得を選んだ。3Dモデリング・ツールの習得には以前から興味があったが、はっきりとしたニーズがない上に最初の敷居が高いためになかなか手を付けられなかった。 今回、学ぶべきと判断した理由は3Dプリンタの普及である。詳しくはエンジニアtypeの「20年後もソフトウエアエンジニアとして『真ん中』にいたいから、今、3Dモデリングを学ぶ」に書いたが、これから10年、20年先を考えた時に、人々のライフスタイルに最も大きな影響を与えそうなのが、3Dプリンタだと直感しているからだ。 それであれば、今のうちから3Dモデリング・ツールを習得し、まずは身の回りの簡単なものから3Dプリンタで作りながら、その大きな変化に黎明期から関わっていたいと感じているのだ。 ちなみに、実際に Blender が使えるようになって気が

    プレゼンテーション・ツールとしての Blender
  • Node.js 用モジュール comet.io の公開

    Node.js アプリケーション上でサーバーからクライアント向けてメッセージを送りたい際に使うライブラリーとしては socket.io が広く使われているが、Websocket、Comet、Flash など複数のトランスポートをサポートしようとするあまり、かなり複雑になってしまっている。 現在、Node.js 上にマルチプレーヤー・ゲーム用のフレームワークを作っているのだが、出来るだけシンプルに、かつ他のモジュールへの依存度を低くしたい私としては、ここまで肥大化した socket.io を使うのには少し抵抗がある。 そこで、メルマガに連載中の「Node.js 入門」向けのサンプルとしても使えるので、Comet だけをトランスポートとして使うシンプルなライブラリを作り、Github と npm に公開した。

  • node.js で「サラリーマンの朝」をプログラムしてみる

    先日の「node.js と thread hog の話」には、たくさんのコメントをいただいたが、やはり「イベント駆動型」のプログラミングには抵抗がある人も多いようだ。そこで、JavaScript の無名関数を使ったイベント駆動型のプログラミングの可読性が悪くないことを示すために、「朝7時に目覚まし時計をかけて眠りにつき、朝ご飯をべ終わったら会社に行く」という典型的な「サラリーマンの朝」をイベント駆動型のJavaScriptで記述してみた。 注目して欲しいのは、素早く出来る「着替える」「顔を洗う」などの動作は割り込み不可な動作なので、通常のプログラミングと同じようにシーケンシャルに実行するが、時間のかかる「朝ご飯をべる」「駅まで歩く」などの動作は割り込み可能な状態で実行し、"complete" のイベントを受けてから次の動作に移る点だ。 ちなみに、目覚まし時計は 「スヌーズボタン」付きな

  • node.js と thread hog の話(3)

    [前回までの話へのリンク] ・node.js と thread hog の話(1) ・node.js と thread hog の話(2) では、なぜ今頃になって HTTP Server の c10k 問題(もしくは、thread hog 問題)が顕在化したのだろう。 当時(90年代の終わり頃)と比べて、もっとも大きく変わったのはCPUの性能である。クロック数は、数百MHzから数GHzへと一桁増えたし、マルチコア化もしている。CPU 性能だけ見れば、当時の数十倍の能力が出てしかるべきである。 しかし、実際の人生はそう簡単ではない。サーバーのパフォーマンスはCPU性能だけが決めるわけではないからだ。そこで、ボトルネックの一つとして注目されはじめたのが、thread の数なのである。 前回述べた様に、thread 一つあたり 2MB~8MB のスタック領域を仮想メモリ空間に確保しなければならな

  • node.js と thread hog の話(2)

    [前回までの話へのリンク] ・node.js と thread hog の話(1) 最近になって「c10k 問題」が広く知られるようになったが、実際には、前回書いたように、thread を使いすぎるプログラム(thread hog なプログラム)はスケーラビリティが悪いということは、当時(90年代の終わりごろ)でもすでに「知る人は知る」問題になっていた。 複数のクライアントマシンとの間のソケットを開きっぱなしにしておく、Proxy Server、Chat Server、MMORPG に関わっている人達の間で、ソケット一つに thread を一つ割り当てるスタイルのプログラミングがスケーラビリティに欠けることが知られるようになったのもこのころである。 当時、Microsoft で MSN Messenger を作っている知り合いが「ついに1万人が同時接続しても大丈夫なアーキテクチャに到達した

  • node.js と thread hog の話(1)

    ここ数日、 node.js で色々と作りはじめているのだが(node.js が一番力を発揮するのは、xmpp server や、push notification server のようにソケットを開きっぱなしにして非同期通信をするケースだと思うのだが、それについては来週のメルマガで詳しく解説する)、これで思い出すのが Microsoft 時代の「"thread hog" 退治」だ。 "thread hog" とは私が作った造語で、"memory hog" (メモリをやたらと使うプログラムのこと)と同じように、thread を不必要に作るプログラムのこと。 最初に出会った thread hog は、Microsoft が作っていた proxy server だった。コネクションが1000を超すとやたらと遅くなり、しまいには落ちてしまうという欠点を持っていたため、一時は「出荷出来ないところか、

  • neu.Tutor 正式リリース

    4月からアクティブ・ラーニング社の羽根氏と共同開発して来た neu.Tutor の正式リリースにこぎつけたので、報告させていただく。ハーバード大学で教鞭をとっていた羽根氏の教育ノウハウがたっぷりと注ぎ込まれたアプリなので、iPhone/iPod touch をお持ちの方にはぜひともお試しいただきたい。 ちなみに、「デッキ」と呼ばれる教材は、こちらでサンプルとして用意したものをダウンロードしていただくことも可能だが、自分で簡単に作成することもできる。アプリからも直接作成することも可能だが、ウェブサイト(http://www.neututor.com) からの方が効率が良いと思う(Facebook アカウントが必要)。作成したデッキは、自分だけで楽しむこともできるが、Facebook 経由で友達と共有することも可能だ(デッキごとのプライバシー設定が可能)。 ちなみに、www.neututor.

    neu.Tutor 正式リリース
  • 人材募集のお知らせ(UIEvolution 株式会社)

    私はこれまでブログや書物を通じて、エンジニアの人たちに向けて「英語を勉強しろ」「外資系企業で実践力を磨け」などのメッセージを出して来たが、実際に私自身がそんな人たちに向けて門戸を広く開いて来たかと言えば必ずしもそうではない。 しかし、去年あたりから UIEvolution のビジネスも軌道に乗りはじめ、人を雇う余裕もできたので、ここで幅広く人材募集をする(参照)。 職種としては、プログラム・マネージャとソフトウェア・エンジニア、合わせて5名。 ちなみに、UIEvolution におけるプログラム・マネージャとは、プロジェクトの仕様と進行に責任を持ち、与えられたリソースと時間で最大の価値を生み出すのが仕事サッカーや野球でいえば監督の役割だ。 プログラム・マネージャにとって最も重要なのは、コミュニケーション・スキル。何が大切で何が大切でないかを見極め、それをエンジニアに伝え、それが期待した通

  • Surface は「iPad キラー」ではなく「ノートパソコンキラー」だ

    ここ数年はアップルのことばかり褒めて来た私だが、今回のMicrosoft Surfaceはとても高く評価している。理由はただ一つ。ついに「しがらみ」を捨てることが出来たからだ。 マイクロソフトの連中に合うたびに、「マイクロソフトはスマートフォンを作るべき」と言いつづけて来た私だが、結局ノキアとの全面提携という道を選んだマイクロソフト。携帯電話に関しては通信会社とのチャンネルも必要だから、という彼らの言い訳にも一理ある。 タブレットに関しても私の意見は同じだったが、OEMメーカーとの関係を考えれば、どうせ無理だろうとあまり期待してはいなかったというのが正直なところだ。 Surface がすごいのは、これが最も大きなダメージを与えるのは、アップルではなく、Dell や HP などの OEM メーカーだということ。私の周りにもすでに、「次のWindowsパソコンはこれに決まりだ」といち早く宣言し

  • UIE Japan から Voicepic のリリースのお知らせ

    UIE Japan から Voicepic という iPhone 向けのソシアル・アプリがリリースされたので紹介する。 まずは "Good morning" というタイトルのプロモーションビデオ。 これが実際のユーザーの投稿サンプル そして最後が使い方を説明した How To ビデオ。 そうそう、これこれっ!こういうやつっ! ・・・あぁ、すいません、いきなり^^; 以前SatoshiさんがPhotoShareをリリースされた時に、声を入れたいとリクエストさせて頂いてたもので・・・ あの頃はまだ私に子供はいなくて、甥っ子を引き合いに出していたのですが、今じゃ自分の子供がもうすぐ2歳と9ヶ月です。月日の経つのは早いものですねぇ。 今では私もGameSaladというツールを使ってiPhoneアプリの配信をしております。 Voicepicさっそくダウンロードして使ってみました。 今日は子供と

  • アップルを単なる「特異点」と見なすべきではない

    先週、「エンジニアType」というところからインタビューを受けた。インタビュー記事は 「『Why?』のある企業だけが生き残る」中島聡が語る"3度目のワールドシフト"の正体 としてに掲載されているので、ぜひとも読んでいただきたい。 テーマが「ポスト・ジョブズ時代の新ルール」というインタビュー。ちょうど良い機会なので、インタビューの前にアップルの成功とその意味について、徹底的に考えて準備しておいた。そこで私がたどり着いた結論は、「日メーカーの収益が悪化していること」と「アップルの成功」は二つの別次元の現象として捉えた方が良いということ。 日メーカーの最近の低迷は、市場のグロバール化により加速された自由競争が一番の原因である。ミクロ経済学が予想するように、市場が自由競争状態に近づけば近づくほど、利益率はゼロに向かって収束する。テレビが「誰にとっても儲からないビジネス」になっているのは、まさに

  • AndroidのFragmentation問題とMicrosoftの鶏と卵状態と

    Android の抱える悩みに関しては、Charlie Kindle の「Google Will Abandon Android」に良くまとめられている。Google 自身がハードウェアを出そうと出すまいと 「fragmentation 問題」はついてまわる。それが結果的に Android 向けのアプリケーション開発のコストパフォーマンスの悪さとなり、開発投資への意欲をそいでいる(参照)。iOSデバイスの retina display 対応ですら余計な手間がかかるのに、Android デバイスの fragmentation なんかにはつき合う余裕はない。 この状況は明らかにMicrosoftにとって「付け入る隙」なわけで、このチャンスを逃す理由はないのだが、現時点ではまだ「デバイスの数が少ないからアプリは作らない。アプリがないからデバイスが売れない」という「鶏と卵」状態から脱せていない(参