なぜ、日本の夫婦は愛情を言葉で表現しないのか。社会学者の山田昌弘さんは「夫婦はもちろん、恋人間でも愛を言葉にしないのは、日本独特の『告白文化』が関係している」という――。 単なる友達ではない特別な異性 1982年の歌謡曲のヒット作に、松田聖子の「赤いスイートピー」(作詞:松本隆/作曲:呉田軽穂〈松任谷由実〉)があります。 そこには、〈何故 知りあった日から半年過ぎても あなたって手も握らない〉というフレーズがあります。お互いに好きでデートを繰り返していても、告白がないから恋人といえない、そんな状況が目に浮かびます(私も当時は一人の若者でしたから理解できます)。 これは、1980年代前半、バブル景気前の世相を映してもいます。 まだ、男女共に行動する共通の場が少ない時代だったからこそ、このような状況が広く生じていたのではないかと思います。 すなわち「友人として交際している異性」の存在が、一つの
