ところで、多くの昆虫は交尾、産卵を終えるとバタバタと死んでいきます。プログラムされた寿命を生きたら、決められたようにきっちり死ぬのです。しかし人間の死に方はそれとは異なり、現代人のほとんどは「老化」の過程で死にます。老化とは、細胞レベルで起こる、後戻りできない生理現象です。細胞の機能が徐々に低下したり、異常を起こしたりし、これががんやさまざまな病気を引き起こす場合もあります。 細胞の分裂回数には限界があり、ヒトの細胞の場合、約50回分裂すると分裂をやめてしまい、やがて死んでいきます。古い細胞と幹細胞によって作られる新しい細胞は絶えず入れ替わっており、4年で体のほぼ全ての細胞が新しいものになります。ただし、心臓を動かす心筋細胞と、脳や脊髄を中枢とし全身に信号を送る神経細胞は入れ替わることはありません。傷ついたらそれきりです。人間だけは例外的に少し長いのですが、基本的には哺乳動物の心臓は約20
