(みすず書房・6050円) 「反社会性」と「社会性」境目はどこに 敗戦から5年余、1950年代に実験工房や具体美術協会など前衛美術が活発化した。芸術の聖地はパリからニューヨークへ移り、60年に「反芸術」を唱える<ネオ・ダダ>が現れる。大分の前衛美術サークル<新世紀群>の吉村益信(ますのぶ)、昨年末に亡くなった磯崎新、赤瀬川原平、風倉匠(かざくらしょう)に、荒川修作、篠原有司男(うしお)らが参加し、工藤哲巳などが間接的に関わった。 拠点は東京・新宿百人町の吉村のアトリエ「新宿ホワイトハウス」。磯崎が設計、名前はアメリカの大統領官邸に由来する。<ネオ・ダダ>は「街頭での奇矯なアクション(パフォーマンス)や作品の体(てい)を成さないガラクタオブジェの展示」をした。「反芸術」は工藤の作品に美術評論家の東野芳明が「ガラクタの反芸術」と名付けたことによる。30年代に生まれた彼らは、敗戦と焼け跡を体験し