ITベンダーやユーザー企業の中には、社内標準の要件定義方法論を持っているケースがある。ただし、それらは大抵の場合、新規システム開発を前提としたもの。既存システム改善(保守開発)に特化した要件定義方法論は、寡聞にして聞いたことがない。 新規開発の方法論を既存システム改善に流用できればよい。しかし、要件定義のエキスパートが集まった有志のコミュニティー「要件定義チームジャパン」のメンバーによると、新規開発と既存システム改善の要件定義は似て非なるものであり、アプローチの仕方を変える必要があるという。要件定義チームジャパンは2014年に既存システム改善での要件定義方法論を独自に策定しており、その議論の過程で違いが明らかになった。 既存システム改善での要件定義は、近年重要性を増している。ここでは、既存システム改善での要件定義の特徴、方法論の要点、必要とされるスキルを紹介する。 既存システム改善の「起点