お笑い界イチの映画狂・みなみかわが、注目の新作映画をひと足先に熱血レビューする本連載。 第4回では、日本映画『あんのこと』を取り上げる。メガホンを取った入江悠監督が、2020年6月に新聞に掲載されたある記事に衝撃を受けたことで着想を得たという本作。主人公「あん」の人生を通じて“生きる”ということに深く切り込んだ人間ドラマから、みなみかわは“ある友人”の存在を想起する。 Y君について 忘れられない友人がいる。 小学校のときにY君というクラスメイトがいた。ちょっとヤンチャだけどどこか憎めない笑顔の男の子でいつも素足だった。 Y君のお母さんを数回見たことがある。とても派手な服装でソバージュのパーマをあてていた記憶がある。お父さんは見たことがない。母親参観や運動会で、Y君は基本的にひとりだった。集合写真でみんながお母さんと一緒に撮ってる写真も、Y君がひとりで気まずそうに写っていた。当時は「ああY君