最近、北朝鮮情勢、ロシア情勢に通暁しているアメリカ人学者と会った。この人物は、象牙の塔の中で論文を書くというタイプではなく、ワシントン、モスクワ、平壌、北京で実際に外交を動かすプレーヤーとして活躍する人々と直接会った上で、その感触を踏まえた分析を行っているので、情勢判断をする上で筆者もその見解を重視している。この人物が「日本の対北朝鮮政策について抜本的見直しをしないと大変なことになる」と述べていた。特に2つのことが日本人には見えていないと強調していた。 第1は、北朝鮮からシリアへの核技術の拡散が十分深刻であること。北朝鮮を説き伏せて、イランのみならずシリアへの核技術の拡散を防がないと、第三次世界大戦に発展する危険をはらんだシリア・イスラエル戦争を誘発する危険性がある。アメリカとしては、何としても北朝鮮との交渉をまとめたいので、現時点でシリアの核開発については極力情報を抑えようとしている