はんどう・かずとし 1930年、東京生まれ。東京大文学部卒。「文芸春秋」編集長などを経て作家に。「昭和史」で毎日出版文化賞特別賞。近著は「日露戦争史」1〜3巻 「戦没者230万人」という数字を、私たちはどのように読み解けばいいのだろうか。昭和史の著作が多い「歴史探偵」こと作家の半藤一利さん(84)に聞いた。【聞き手・高橋昌紀/デジタル報道センター】 ◇ 戦前の日本は近代国家の体をなしていなかった。「戦没者230万人」という数字はそのことを端的に示していると思います。国民を戦地に送り込むならば、国家は責任を負わなければなりません。いつ、どこで、どのように戦没したのか。確実に把握していなければならない。ところが、「戦没者230万人」という大枠のみが残り、具体的なデータは部分的にしか残っていません。厚生省(当時)は戦後、戦域別で戦没者数を算出しましたが、そこまで。死因までは分類できていない。23
勉強第一で大きな買い物はせず、奨学金で学費を賄う−−。全国大学生協連がバブル崩壊後からこれまで20年間の大学生の変化を分析した。不況が続く中、まじめ化と緊縮化が進んでいるようだ。 大学生協連は1963年から、加盟大学を対象に学生生活実態調査を続けている。今回は91〜2011年の回答を研究者5人が分析した。この間大学進学率は25.5%(91年)から51%(11年)に上昇した。 大学生活の重点を「勉強第一」とする回答は、11年は27.1%で1位。91年は19.9%だった。一方「豊かな人間関係」は26%(91年)から13.4%(11年)に半減した。 収入と支出では、1カ月の仕送り額は9万450円(91年)から6万9780円(11年)に減り、家電や家具など耐久消費財支出(半年間)は6万600円(91年)から1万7000円(11年)に激減している。 日本学生支援機構の奨学金受給率は34.6%(11年
思い思いの服装で働く社員たちを見守る丸幸弘社長(手前)。「うちの会社は理系のオタクばかり」=東京都新宿区で2011年12月21日、岩下幸一郎撮影 ◇「面白いこと」求めて起業 毎朝7時に家を出て、帰宅は深夜。土曜日は一日中眠り続け、日曜の夜に深いため息をつく--。科学教育事業のベンチャー会社「リバネス」(東京都新宿区)社長の丸幸弘さん(33)が見てきたサラリーマンの父の姿だ。「会社員にはなりたくない」と思った。 薬科系大学で学んだ。在学中はバンドの活動に熱中。3年の秋、仲間のリクルートスーツ姿に怒った。「お前ら、ロックに生きるって約束はどうなったんだよ」「そうは言ってもよ、働かなきゃいけないんだぜ」 周囲は製薬会社に就職を決めていく。それでも一人動き出せなかった。人事担当者にペコペコして「御社で一生働きたい」なんてウソでも言えない。結局大学院に進み、寝る間も惜しんで顕微鏡をのぞき続けた。 2
<この国はどこへ行こうとしているのか> ◇30年前の発想、脱却を--小熊英二さん(48) もう間もなくあの日から半年。そして、「震災政局」がもたらした民主党代表選が間近に迫ってきた。菅直人首相の退陣で、被災地復興にはずみがつくのだろうか。下北沢駅近くの喫茶店でそう話を向けると、小熊英二さんは独特の早口で語り始めた。「復興が進まない現状に対するフラストレーション、もっと何とかしてほしいという過剰な期待。それが『悪いのは政治だ』『首相さえ代えれば』という形になったんだと思いますが、実際は菅さんを降ろしたところで変わりはしないでしょう」。日本の社会、思想史の読み直しを続ける社会学者は、復興計画そのものが「30年前の発想形態」と冷ややかに指摘する。30年前? 震災後に現地に入り、被災状況と復興の動きをその目で見た。先月、東北学の提唱者、赤坂憲雄さんらと「『東北』再生」(イーストプレス)を刊行したば
現役高校生が対象の予備校「早稲田塾」(東京都千代田区)は今夏、約20人を対象に、米国の思想家、ピーター・F・ドラッカーの理論を学ぶ短期集中講座を米国で開く。次世代リーダーの育成が目的で、ドラッカーゆかりの教育機関で教授陣が講義する。「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海著、ダイヤモンド社)が話題になる中、同塾は「もしドラブームと時期が重なったのは偶然だが、生徒には自分の人生を『マネジメント』できるようになってほしい」と話している。 「マネジメントの父」と呼ばれ、目的を実現するための手段を論理的にとらえるドラッカーの考え方と、人生の目的にたどり着くための学力育成を目指す同塾の理念が一致。ドラッカーも教えていた米クレアモント大学側に接触し、2年前から準備してきた。 実施するのは「高校生向けドラッカープログラム」で、原則として英語。生徒は、同大の教育
経済協力開発機構(OECD)が3年ごとに実施する国際学力テスト(PISA)で、日本の生徒の「学力低下」に初めて歯止めがかかった。背景には学校での読書活動や「考えさせて発表させる」授業の推進など、地道な取り組みがありそうだ。ただし、都市として初参加した中国・上海が全項目でトップに立つなど、他のアジア参加国・地域が軒並み日本を上回る好成績を収めており、安心できない状況だ。【井上俊樹、遠藤拓】 成績が急落した03年のPISA結果を受け、文部科学省は05年に読解力強化の指導方針を打ち出した。 福島県喜多方市立第一小は、3年前から「PISA型読解力」の育成を重視した授業をしている。05年から3年間、文科省の学力向上研究の指定校になり、基礎学力の向上を図ってきた。だが、考えをまとめたり、発表する力が弱く、それを育むために独自に「PISA型」授業を取り入れた。 例えば5年生の国語。10月から計16時間か
教科書検定の結果が30日公表され、11年度から小学校で使用される教科書の中身が明らかになった。「脱ゆとり」に路線転換した新学習指導要領に沿って、各学年で「初登場」あるいは「復活」する内容も多い。一方、知識の詰め込みに偏らないよう、ノートの取り方や頭の働かせ方などを教え、思考力や活用力を養おうと各教科書会社が趣向を凝らしているのも特徴だ。【加藤隆寛、内橋寿明】 ●算数的活動 指導要領の改定で大幅に増えた学習事項に目が行きがちだが、今回の教科書のポイントとして「考える力を伸ばすことを意識した」と強調する編集者は多い。特に算数でこうした傾向が顕著に表れており、誰かの解答例を示して考え方を読み取らせ、さらに自分で考えたことを言わせたり、書かせようとする場面が目立つ。 ここでは、答えにたどり着くためのテクニックの習得は目的とされていない。教育出版の編集者は「『答えを載せてしまったら面白くないのでは』
早稲田大と慶応大が今月、15回の授業で単位を取得できる「囲碁」の講座を相次いで設ける。偶然にも「私学の両雄」が足並みをそろえることに、日本棋院は「伝統文化の継承・発展のうえで意義深い」と歓迎している。 両大の講座はいずれも7月までで、90分授業が15回ある。囲碁の歴史やルールを学び、学生同士で対局。最後は講師のプロ棋士に挑む。日本棋院によると、囲碁の講座はこれまで、東京大教養学部(東京都目黒区)と東邦大理学部(千葉県船橋市)にしかなかった。 早大は日本棋院と提携し、西早稲田キャンパス(東京都新宿区)で7日、黒滝正憲七段(34)を講師に「囲碁で学ぶ数理科学入門」をスタートさせた。学部を問わず受講できる。担当する早大メディアネットワークセンターは「最近の学生は受験のせいで決まった科目の知識しかない。文系学部の学生にも対局を通し数理科学的思考力を養ってほしい」と狙いを語る。 慶大も14日、神奈川
総務省が7日発表した08年通信利用動向調査によると、昨年末時点のインターネット利用者数(推計)が初めて9000万人を突破し、4人に3人が利用していることが分かった。ただ、年収200万円未満の世帯は利用率が50.5%と平均を大きく下回り、収入によるネット格差が明らかになった。 今年1月に全国6256世帯を対象に調査(回答率72.2%)し、国勢調査などを基に利用者数を推計した。その結果、過去1年間にインターネットを利用した人数は推計9091万人と前年調査から280万人増加。利用率も75.3%と前年から2.3ポイント増えた。 一方、世帯年収別の利用率は200万円未満が50.5%(前年比5.5ポイント減)と前年を下回り、200万円以上400万円未満も66.0%(同2.5ポイント増)どまり。2000万円以上の86.9%(同9.4ポイント増)と開きが出た。【中井正裕】
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く