3月に起きた東日本大震災──。マグニチュード9.0の巨大地震、大津波に原発事故まで併発した未曾有の大災害は、モノ作り立国ニッポンの根幹を大きく揺さぶった。 東日本に広がるメーカーの生産拠点や下請けの工場が被災し、物流網も寸断され、数多くの素材や部品の供給がストップ。生産停止が西日本や海外まで広がったのである。こうした事態を受け、「ジャストインタイム」をはじめとする日本のモノ作りの効率化が行き過ぎなのではと再考を促す声が高まっている。 だが、ビジネス小説『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)の著者として知られるイスラエルの物理学者、エリヤフ・ゴールドラット博士はこう問いかける。「日本のモノ作りは本当に効率化が進んでいたのか」と。 日本でもベストセラーとなった同書のタイトルに聞き覚えのある読者も多いだろう。機械メーカーに勤める主人公のアレックスが、採算悪化によって閉鎖の危機に直面した工場を再建してい