日産GT-Rの心臓に採用されている三菱重工の傘中空バルブ。新技術と報道されることが多いが、その原点は日本が世界に誇る独自技術なのである。 PHOTO:小林康雄 すべての写真を 見る 話は1934年(昭和9年)に遡る。戦前、日本では航空機エンジンの開発に際し、排気バルブの破損が相次いだ。大出力の航空機エンジンは燃焼温度が高く、排気温度も高い。未経験の高温に、国産排気バルブはことごとく壊れた。これではエンジン開発などおぼつかない。冷却効率の高いバルブの開発・入手は急務であった。 そんな折、欧州駐在の三菱航空機(現在の同名社ではなく現・三菱重工)の技師が中空冷却排気弁(バルブ)の情報を持ち帰る。これは中空化したバルブ内部に低融点の冷却媒体を封入、摺動運動時のシェイキング効果で熱を傘部からバルブシート及びバルブガイドに高速で逃がそうというもので、バルブ破損とデトネーション防止に効果が見込まれた。こ
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