出先で携帯に、その日の当番デスクから電話がかかってくると、少し緊張します。「●●さんという方が亡くなったらしいんだけど……」といった風に、それはしばしば、マンガやアニメに関わる人の訃報(ふほう)であったりするからです。どこに問い合わせればよいか、記事にするならどのくらいの大きさにすべきか、代表作は何か、といったことに答え、場合によってはすぐ帰社して取材と原稿に取りかからなければなりませんが、「●●さん」というその名を聞いた瞬間、冷たい手に心臓をつかまれたようで、ヒザから下の感覚がフッと無くなることも、長い記者人生の中で何度か経験しました。 「社会部から問い合わせがあってね、首都高で停車していた車の中で亡くなっていた女性が、鶴ひろみさんという声優らしいんだ」 ありきたりな表現ですが、耳を疑うとはこのことです。 記事は社会部が出すというの…