大気の酸素濃度は、地球史においてダイナミックに変化してきた。現在は21%だが、22億年ほど前は数%しかなかった。35億年ほど前にある種のバクテリアが光合成を発明して以来、酸素濃度は次第に高まっていったが、酸素濃度が現在のレベルになるまでには紆余曲折があった。現在より高い時期もあって、シルル紀には25%、ペルム紀初期にはなんと34%に達していた。 地球生命史において何度か「進化爆発」が起こった。「進化爆発」とは、「カンブリア大爆発」を好例として、短い期間に「種」どころか「門」のレベルの多様な生物が現れる不思議な現象のことだ。最近の研究で、酸素濃度が低めの時代に、進化爆発が起こるという相関があることがわかってきた。それも酸素濃度が数ポイント変動するだけで、大きな変化が起こるようなのだ。 これをどう解釈したらよいのだろう。酸素を効率的に取り入れることは、生物の基本設計における重大要件である。酸素