長野県南木曽町の妻籠宿を訪れた。 国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された古い中山道の宿場町だ。コロナ禍で観光客は減ったが、それがむしろ風情を強めたように感じる。だが私が興味を持ったのは、一つの言葉である。 それは地元の人から教わった「蛇抜け」だ。 端的に言えば土石流のことだ。沢などが崩れて細長く崩壊する様子を「蛇」と見立てて、それが発生することを「抜ける」と表現したのだろう。つまり山崩れや土砂崩れといった水害を示す言葉なのである。ときに“蛇”は、何キロにも延びて河川を氾濫させ、下流の集落を襲う。 全国的に「蛇」という字のつく地名や現象は、たいてい水害に関係がある。実際、木曾には「蛇抜け」災害が多数発生している。なかでも南木曽町は、「蛇抜け」の“本場”なのだそうだ。 記録に残るのは1691年(元禄4年)からだが、その後絶え間なく起きている。 近年では1958年、65年66年……と毎年のよ
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