ブックマーク / agora-web.jp (28)

  • 「軍靴の音」は中国から響いている

    中国のモードチェンジ 50年後、100年後の将来。2016年現在は「戦前期」と定義されているのではないか。いや、すでに戦中なのかもしれない。 終戦記念日の8月15日、海上保安庁は尖閣沖中国船の映像を公開した。8月11日の漁船沈没事故のほか、中国船がひっきりなしに近海に現れるのを危惧してのことだ。だが映像公開後の8月17日にも中国公船は4隻、領海に侵入した。 6月には中国軍艦が日の接続水域に続いて、領海をも侵犯した。日政府が抗議をした矢先、今度は北大東島周辺の接続水域に侵入。日政府の抗議に対し、中国側は「国際法の概念に合致している」「日側の対応は不可解」と述べた。 その傲慢さは度を越している。 少し前にエリザベス女王が英国来訪時の習近平主席一行の態度を「とても失礼だった」と批判する映像が世界に流れた(おそらく中国を除く)。経済力をつけ、軍事力を蓄えてきたにもかかわらず、尊大な振る舞い

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  • データで見るCOVID-19の地域別被害:「世界の中心は欧米」主義者に見てほしい

    今回の新型コロナをめぐる議論を見ていて痛感したことの一つが、日にはびこる欧米偏重主義だ。科学者の間で「世界の中心は欧米」の考え方がはびこっているだけではない。一般人の間でも「新興国で感染拡大」のように、経済規模の進展度に応じて感染が順々に広がるのが世の中の必然であるかのような思い込みが根強い。 「今の東京は2週間前のニューヨーク」論は記憶に新しいが、「アフリカはやがて感染拡大する、3カ月してヨーロッパのようになっていないとしてもそれはアフリカが後進的だからで、いつか必ずアフリカはヨーロッパのように感染拡大する」という根拠のない思い込みに辟易とする場合が多い。ひどい場合には「アフリカのデータは信用できないだろう」という偏見で一刀両断である。 確かにアフリカに限らず、紛争中の国などでデータの収集に限界があるのは確かだろう。しかしそういう国にこそWHO等の国際機関が入って、少なくとも国家行政へ

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  • 新型コロナ なぜ4月の「超過死亡」が増えたのか 〜 指定感染症の功罪

    マスコミ各社は、こぞって追随しました。特に目立ったのが日経の翌12日の記事で、「特定警戒」地域だった13都道府県のうち、11都府県で同じような超過死亡があったと報じています。 はたして、新型コロナの死亡者数は、当は政府や都の発表よりずっと多いのでしょうか。複数のデータを追っていくと、全く違った結果が見えてきます。 データをクロスチェックした結果 国内の新型コロナウイルスのデータとして、最も信頼性が高いとされているのは国立感染症研究所の調査報告です。同研究所では、週次でインフルエンザ・肺炎のデータを公開しています。 東京の最新データを見てみましょう。超過死亡が新型コロナだとすると、死亡のピークは2019年12月から2020年2月中旬までとなります。最初に紹介したブルームバーグの記事によると、2月より3月の方が死亡者が増えているのですが、国立感染症研究所のトレンドではそういう様子は見られませ

    新型コロナ なぜ4月の「超過死亡」が増えたのか 〜 指定感染症の功罪
  • 新型コロナ 西浦氏の「42万人死亡」はなぜ間違ったのか

    厚労省クラスター対策班のメンバーである西浦博氏は、4月15日に突如「42万人死亡」説を発表し、国内に大きな驚きと反響を巻き起こしました。このまま何の対策もしなければ、日の死亡者数は最大42万人にも達するというのです。 彼は、4月3日にも東京の感染者は1か月後に8万人になると発表し、これを受けるような形で、安倍首相が4月7日に緊急事態宣言を発出したのは記憶に新しいところです。 42万人も死亡するというのは、最近の自然災害と比べても桁違いの大災害です。参考までに、2019年の台風19号は89人、2011年の東日大震災は1万8,400人、1995年の阪神・淡路大震災では6,400人もの方々が亡くなりました。これらの何十倍、何百倍の人的被害が出るというのだから、日中が騒然となったのも当然です。 この戦後未曽有の大惨事を防止するために、人的接触を「8割減」にすればよいと提言したことから、彼には

    新型コロナ 西浦氏の「42万人死亡」はなぜ間違ったのか
  • PCR検査信仰は「平和ボケ」~空港での検疫検査の充実こそが死活的国益

    テレビのワイドショーのPCR信仰に国民が洗脳されていると見た方々が、54兆円かけてもPCR検査を全国民に施せば安心が得られる、という「国民運動」を起こそうとしている。この動きの危険性については何度か指摘した。 渋谷健司氏が賛同する54兆円全国民PCR検査に反対する 渋谷氏と全国民PCR検査推進の小林慶一郎氏が諮問委入りの騒然 こうした考え方による「平和ボケ」と言ってもいい現実感覚の喪失が、たとえば「政府は新型コロナウイルス感染症の収束をにらみ、抗体検査やPCR検査によって非感染が確認されたビジネス渡航者に「陰性証明書」を発行し、中国などへの渡航を容認する方向で検討に入った」、といった雰囲気を生んでいるのだろう。 政府、ビジネス渡航解禁を検討 新型コロナ非感染証明が条件(時事通信) いくら出国する際に陰性である可能性が高いとしても(ただし何日も前の検査ではそれも怪しい)、帰国してきた際の陰性

    PCR検査信仰は「平和ボケ」~空港での検疫検査の充実こそが死活的国益
  • 西浦モデルの検証⑧ 西浦教授は専門家会議から撤退せよ

    違和感の残る1日の記者会見 5月1日、緊急事態宣言の延長前の会合と思われる専門家会議が開かれ、記者会見も行われた。 前回の4月22日の際には、専門家会議のメンバーは、現状分析を拒んだ。今回は「減少はしているが期待したほどではない」という見解で統一されていたようだった。1週間ほどの間で「減少」は所与の事実とされたうえで、「期待したほどではない」という評価をあっという間にくだされた。 違和感が残る。いったい誰が、いつ、どういう「期待」をしていたのか? 国民にその「期待」に関する説明は事前に与えられていたのか? わずか一週間という時間は、「まだわからない」を「期待したほどではない」という評価に変更するのに、適切かつ十分だったか? こうした疑問に答える手掛かりは何もなく、ただ「期待していたほどではない」という発言だけが繰り返され、あとは国民の一層の努力を求める、という要請が繰り返された。 1億2千

    西浦モデルの検証⑧ 西浦教授は専門家会議から撤退せよ
  • 小池知事と西浦教授、そして岩田教授:コロナ対策プランBの可能性

    私は、2015年安保法制の後、憲法問題について集中的に勉強し、日の「憲法学通説」を批判するを何冊か書いた。「通説」の形成メカニズムを意識し、「芦部信喜」「長谷部恭男」「石川健治」「木村草太」といった具体的な憲法学者の名前に踏み込んだ批判をだいぶやった。 そのように個人名をあげて憲法学通説批判をしたのは、集合的に運営されている学説は、それを支えている個々の学者によって構成されている学会の動向のようなものも押さえておかないと、見えてこない、ということを、強く感じたからだ。 今、日の新型コロナ対策では、北海道大学・西浦博教授の存在が決定的だ。私が「日モデル」のコロナ対策と呼んでいるものにおいて、西浦教授ほど重要な存在はないように見える。 昨日3月30日夜の小池・東京都知事の会見は、「不要不急」なものだったが、要するに厚労省クラスター対策班の肩書で登壇した西浦教授(新型コロナウイルス感染症

    小池知事と西浦教授、そして岩田教授:コロナ対策プランBの可能性
  • 西浦教授に研究者に戻ってほしい

    4月15日、西浦博・北海道大学教授の記事が、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞に、一斉に掲載された。 接触8割減なら1か月で収束…北大教授試算、政府目標の根拠に(読売新聞) 行動制限なしなら42万人死亡 クラスター班の教授試算(朝日新聞) 「対策何もしないと重篤患者85万人」北大教授試算 「対策で流行止められる」(毎日新聞) 内容は同一である。放っておけば日で42万人の新型コロナによる死者が出る。今頑張れば1か月後に事態は収束する、というものである。 西浦教授は政府クラスター対策班のメンバーとしてずっと霞が関にいるらしい。そして自らを「8割おじさん」と呼んで各種マスコミ対応をし、大量のツィッター発信などにも余念がない。 「このままでは8割減できない」 「8割おじさん」こと西浦博教授が、コロナ拡大阻止でこの数字にこだわる理由(バズフィードジャパン) 大変に恐縮だが、「専門家」という肩書でここまで

    西浦教授に研究者に戻ってほしい
  • 緊急事態宣言・西浦モデルの検証(4月12日)国民の疲弊リスク

    安倍首相は、4月7日の非常事態宣言会見の際に、「東京都では感染者の累計が1,000人を超えました。足元では5日で2倍になるペースで感染者が増加を続けており、このペースで感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1か月後には8万人を超えることとなります」と発言した。 前回書いたように、東京都の累積感染者数が1,000人を超えたのは、4月5日のことで、1,032人であった。 4月12日は、ちょうどそこから1週間がたった日だ。累積感染者数は、2,068名となっている。 4月7日からの5日間を見ると、約73%増で、「足元では5日で約1.73倍になるペース」である。ちなみに今週の新規感染者数は、先週の新規感染者数の1.72倍である。倍増は7日かかる。 果たして「2週間後には1万人、1か月後には8万人を超えることとなります」という予測は妥当だっただろうか。 確かに、1つ前の週の3月30日~4月5日の1週間

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  • 緊急事態宣言・西浦モデルの検証(4月10日)

    安倍首相は、4月7日の非常事態宣言会見の際に、次のように述べた。すでに以前に指摘したように、西浦博教授の理論に依拠した発言である。 東京都では感染者の累計が1,000人を超えました。足元では5日で2倍になるペースで感染者が増加を続けており、このペースで感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1か月後には8万人を超えることとなります。しかし、専門家の試算では、私たち全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができます。 東京の感染者累計が1,000人を超えたのは、4月5日で、1,032人あった。3月31日には521人だったので、確かにほぼ倍増していた。ところで4月5日から5日して、東京の総感染者数は倍増しただろうか。連日の「最高数」の報道でやや異なる印象を受けている方もいらっしゃるかもしれない

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  • 社会運動家化する「専門家」たちの「責任」

    ここ最近、医学の専門家の方々が、社会運動家してきているのが目立つ。社会的使命を感じて行動されているということなのだろうが、非常に特異な状況になってきていると感じる。 時の人と言ってもいい「クラスター対策班」の西浦博・北海道大学教授については、私はしばらく前に、こう書いたことがある。 今、日において、西浦教授ほど重要な人物は他にいないのではないか。私が政治家なら、即座に巨額の研究資金を西浦教授に預けるために奔走する。(「密閉・密集・密接」の回避は、「日モデル」の成功を導くか) 私がこう書いたのは、全国の保健所の方々が持っている情報などを集積・分析して進める研究には、相当な労力が必要だ、と思ったからだ。しかし私の期待は外れた。 西浦教授は、もっぱらメディアやSNSを通じた発信や政治家への影響力行使に関心があるようだ。個人ツイッターでの濃厚なやりとりだけでなく、新規に開設した「新型コロナクラ

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  • 「日本モデル」の緊急事態宣言を成功させたい ~保健所への支援を

    今回の「緊急事態宣言」の発出は、「日モデル」の新しい段階ではあるが、決して終焉ではないことが明らかになってきた。私は、過去の「外出自粛要請」下の東京は、ある種のロックダウンの初期段階と考えるべきだ、と言ってきている。「緊急事態宣言」は、第二ステージでギアを入れ直すものだが、これまでの「日モデル」の廃止ではない。 安倍首相が冒頭で「緊急事態宣言」は頑張っている医療関係者の人たちを助けることが目的であると宣言し、具体的な職名をあげて感謝し、称賛の意を表明したのは良かった。これは私がかねてから日政治家にもっとやってほしい、と書いてきたことだ。 私としては、何と言っても、尾身氏が、「クラスター対策・医療体制・行動変容」と、「日モデル」の三つの領域をブレずに説明していることに感心した。尾身氏は、「非常事態宣言」を「日モデル」のコロナ対策の一段階として捉えているので、安心感がある。応援した

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  • 「日本モデル」に踏み込んだ専門家会議「分析・提言」

    昨日4月1日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が会合と記者会見を開いたが、その内容は「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年4月1日)としてダウンロードできるようになっている。 記者との間の質疑応答には、的を外したやりとりが多々あったように見えた。メディア関係者はもちろん、全関係者が読むべき報告書だ。 注目したいのは、専門家会議が、「日モデル」という概念を使い始めたことだ。 前回3月19日の「提言・分析」では、「我々としては、『3つの条件が同時に重なる場』を避けるための取組を、地域特性なども踏まえながら、これまで以上に、より国民の皆様に徹底していただくことにより、多くの犠牲の上に成り立つロックダウンのような事後的な劇薬ではない『日型の感染症対策』を模索していく必要があると考えています。」(10頁)といういささか奥ゆかしい表現が用いられていた。 これについて、

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  • 新型コロナウイルス「抗体検査キット」の誤解は感染爆発を起こし得る(特別寄稿)

    新型コロナウイルスのPCR検査件数が不十分と言われる中、一部で診断の「救世主」として注目を集めているのが、抗体検査の簡易キットだ。 しかしこの検査は、特性を理解せずやみくもに使用すれば、社会混乱を増幅させるだけでなく感染爆発リスクを上げることにもなりかねない。そのことが世間ではまだ十分理解されていないと感じている。 稿では抗体検査と簡易キットのよくある誤解について解説し、検査法の限界と可能性を述べる。 抗体検査簡易キットとは 抗体検査の簡易キットは図1に示す通り、少量の血液を載せるだけで抗体陽性かどうかが判定できるものだ(図1)。自分で血液を取ることさえできれば自宅でも検査可能であり、また1キット数千円という安価で入手可能である。日国内でも研究用の簡易キットが既に市販されている。 英国ではこの簡易検査キットを一般家庭に配り、自己隔離の指標としてもらう方策も打ち出されているようだ(3月

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  • 感染研所長がキレた!PCR検査を巡る非難報道に猛反論

    国立感染症研究所の脇田隆宇所長は1日、一連の新型コロナウイルスの検査を巡る同研究所の対応についての報道で「事実と異なる」と反論する異例の声明文を出した。 新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査に関する報道の事実誤認について PCR検査を巡ってネット上でも激しい論争が繰り広げられているが、安倍政権のシンパとアンチの代理戦争のような構図になっている。 反政権の急先鋒、日刊ゲンダイの電子版は28日、「厚労省が政権に忖度か 感染者急増の北海道で“検査妨害”」と題した記事を掲載。立憲民主党の川内博史衆議院議員が予算委員会で、感染研から北海道に派遣された職員が「検査をさせないようにしている疑念がある」と指摘したことなどを取り上げ、 安倍政権が専門家3人を北海道に送り込んだのは、検査件数を抑え、感染者数を増やさないようにするためだった疑いが強い と一方的に糾弾した。 これに対し、感染研は職員への聞き取

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  • フェミニズムへの絶縁状

    社会・一般New York, 8 March 2016 � Film stars, UN officials and New York City came together today to commemorate International Women�s Day by launching the inaugural HeForShe Arts week, a new initiative from UN Women geared towards leveraging the arts for gender equality. The 2016 theme for International Women�s Day is �Planet 50-50 by 2030: Step It Up for Gender Equality�, with a focus on mobilizing m

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  • 「野菜の値段の9割は中間マージン」の衝撃 – アゴラ

    みなさん、例えばスーパーで200円のキャベツを買ったとします。その「原価」つまり、農家の方が手にする収入はいくらかご存知ですか?ざっくりいって、20円です。つまり、180円が中抜きされています。これが、日の今の経済社会の歪みを象徴的に表しています。 マッキンゼー のレポート「日における農業の発展、 生産性改善に向けて」の調査レポートを引用します。 「サプライチェーンにおける中間業者のコストは、生産額の約 9 割にも上る」 加工用や外向け以外で、直接、消費者に販売される生鮮品の生産・輸入額は 3.1 兆円だ。驚く べきことに、それに対して実に 2.8 兆円の流通マージンが上乗せされている。これらは、主に卸市場 における手数料や配送にかかっている費用である。 深刻化する日の農業 今、日の農業が危機的状態にあります。生産者の高齢化が進んでおり、60 歳以上の生産者が占める割合は201

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  • 台風19号上陸も、東京0メートル地帯はこうして守られた

    東京都議会の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。 台風被害は甚大に 台風19号が日列島を襲って各地域から過ぎ去っていますが、川の堤防決壊が発生したのは、21河川の24か所に上ることが国土交通省の調査で分かっています。千曲川や秋山川の救出状況など昨日からテレビで中継されて自然災害の脅威を肌で感じているところです。 千曲川は例年夏場にはラグビー関係で何度も行っていまして、私としてはいつも爽快な気分で橋を往来していました。長野駅から菅平に今年は2回入っており、あの千曲川がこんな事になっているのかと重く事態を受け止めています。今はとにかく救助そして1日も早い復旧を東京からも提案し、微力ながら努力していきたいと考えています。 ■ 来であれば、こちらの取材を深めるべきですが、私の立場からは次の備えに向かって走り出すことも必要と考えて、荒川下流域の洪水対策について記させて頂くこととしま

    台風19号上陸も、東京0メートル地帯はこうして守られた
  • イージス・アショアの「語られない論点」:賛成派・秋田県民の視点 --- 長沢 健太

    イージス・アショアの目的とは何か? 今、故郷である秋田県が、イージス・アショアの配備の是非で揺れている。筆者も安全保障に関心のある一学生として、県民向けの説明会などにも足を運び、この問題に強い関心を持ってきた。 筆者は、イージス・アショアの配備に関しては比較的理解を示す立場である。しかし、だからこそ、現行のイージス・アショアの計画及びそれについての議論が尽くされていないと考える。 イージス・アショアを「目的」と「手段」で見る視点が足りていないのだ。稿ではイージス・アショアを、目的と手段という視点から考えていきたい。 ここにおいてはイージス・アショアが「何の」目的で配備・使用されうるかを整理していきたいと思う。 1.イージス艦の運用の柔軟性を確保するため 防衛省の説明資料にもあるようにアショアを配備することにより、イージス艦をミサイル防衛任務からある程度解放することが可能となる。ミサイル防

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  • 台風21号の教訓:大水害に備えて広域避難の態勢を --- 永松 伸吾

    関空でなぜ8000人も孤立した 9月4日に関西地方を襲った台風21号の被害により、関西国際空港が孤立したニュースは記憶に新しい。関係者の努力のおかげで、稿執筆時点(9月21日)で、関空はほぼ全面復旧している。この事件を巡っては、連絡橋に衝突したタンカーの避難が適切だったのか、関空運営会社の危機管理、とりわけ孤立した8000人の救出や支援は十分だったのかなどがメディアで大きく取り上げられた。 しかしながら、そもそも台風襲来の時点でなぜ8000人もの人々が関空島にいたのだろうか。それは直前まで航空機の離発着が行われていたからである。関空の到着便は4日の10時過ぎ、出発便は4日の13時過ぎまで運行していた。避難に時間がかかることを考えると、4日は全面閉鎖して、他空港への振り替えを行うべきであった。関西国際空港が津波高潮に対して脆弱な空港であることは、防災対策に関わる人々には周知の事実だったのだ

    台風21号の教訓:大水害に備えて広域避難の態勢を --- 永松 伸吾