10月下旬、日本海で合同演習を行った中国海軍とロシア海軍の艦艇合計10隻が、津軽海峡から太平洋に出て、伊豆諸島沖を経由して鹿児島県・大隅海峡から東シナ海に入った。これまで、両国海軍それぞれが日本を周航することはあったが、合同で巡航を行ったのは初めてである。 近年深まっている中露の軍事協力の実態をふまえれば、このような動きは驚くべきことではなく、これからも繰り返されていくであろう。以下では、西太平洋における中露の軍事協力がどのように広がってきたのかを振り返り、日本が取るべき対応について考察する。 冷戦前後に揺れ動く中露関係 冷戦時代、当初協力関係にあった中国とソ連は次第に敵対するようになり、国境線沿いで武力衝突を繰り返すようになった。このため、1970年代以降、中国は米国と「暗黙の同盟」を結び、ソ連を牽制する道を選んだ。一方、ソ連はウラジオストクを拠点とする太平洋海艦隊の増強を進めていたため