この連載コラムでは、中国のみならず、台湾、香港、東南アジアを含む「グレーターチャイナ」(大中華圏)をテーマとする。私は20代から40代前半の現在まで、留学生や特派員として、香港、中国、シンガポール、台湾に長期滞在するチャンスに恵まれた。そうした経験の中で培った土地勘を生かし、「大中華圏」 での見聞を硬軟取り混ぜて皆さんにお伝えしていきたい。 静かだった台北故宮が、喧噪の渦に 台湾きっての観光名所、台北の故宮博物院(以下台北故宮)の入場料が、これから大幅に値上げされるという。その主な理由が、増えすぎた中国人観光客の来場を抑制するためだというから二重に驚いた。 かつて、中国から台湾への観光客はほとんどゼロに等しかった。中国と台湾が対立関係にあったからだ。しかし、2008年に政権に就いた馬英九総統は中台関係の改善を進め、象徴的な政策として、中国人観光客の台湾観光を開放した。その結果、一気に中国人
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