日本から来た若い友人が、どうぞ、とある新書を置いていきました。数学者藤原正彦さんがお書きになった「国家の品格」(新潮新書)という本でした。日本ではもう110万部も売れているのだそうです。ざっと通読後、私の尊敬する友人である若いお医者さんとかまでもが激賞しているのを知り、え、そんな感動するような本だったかしら? と思って、そりゃもういちど精読したほうがいいかなと思ってそうしたのですが、やはりこんども冒頭からつまずいてしまいました。 こう書いてあるのです。「30歳前後のころ、アメリカの大学で3年間ほど教えていました」「論理の応酬だけで物事が決まっていくアメリカ社会がとても爽快に思えました。向こうではだれもが物事の決め方はそれ以外にないと思っているので、議論に負けても勝っても根に持つようなことはありません」 おいおいちょっと待ってよ。アメリカでだって「論理の応酬」だけでなんか物事は決まらないし「