19世紀の北ベトナムを舞台に、男児を産むことが女性最大の務めとされていた「一夫多妻・父権社会」の影を、14歳の「第三夫人」の視点から捉え、息をのむ美しい映像でつづる『第三夫人と髪飾り』。本国ベトナムで公開4日後に上映中止となった衝撃作だ。日本公開に先駆け、9月上旬に来日した女性監督に話を聞いた。 スパイク・リーやトラン・アン・ユンら世界的な巨匠が才能を絶賛する新鋭女性監督アッシュ・メイフェア。1985年にベトナムに生まれ、中学・高校をオーストラリアの寄宿学校で過ごし、英国オックスフォード大学を経て、ニューヨーク大学(NYC)で映画制作を学んだ。 長編デビュー作となる『第三夫人と髪飾り』は、曾祖母の話から着想を得て自ら脚本を書いた。自身が「フィクションではあるが、現実にあったことを織り上げて作ったタペストリー」と評する物語は、NYU映画学科で教鞭を執るスパイク・リーから激賞され、2014年度