フィリピン大統領選で、南部ミンダナオ島ダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が圧勝した。国際的には無名な新顔だったが、3か月の選挙期間の終盤にはドゥテルテ現象と呼ばれるほどキャンペーンは盛り上がった。暴言や放言の数々ゆえに外国メディアは、米共和党の指名獲得を確実にしたドナルド・トランプ氏と並べて論じる。中央政界も外交も経験のない新大統領の船出にはいくつもの難関が待ち受けている。現政権下では好調に推移した経済状況も含め、この国の将来は波乱含みだ。 5月7日夜、選挙戦最終日のマニラ・リサール公園。主催者発表で30万人という人波が「ドゥテルテ、ドゥテルテ」と大合唱する。歌手のフレディ・アギラが、自身のヒット曲をもじった応援歌で盛り上げた後、トレードマークの赤いポロシャツにブルージーンズ姿の本人がマイクを握った。 「麻薬密売人や凶悪犯は殺してやる、待ってろ」。どや顔ですごみ、「フィリピンはなん